結婚式場に新婦の娘を挟んで「2人の父親」が並んで登場する光景は感動的だった。
おぼん・こぼんのこぼんの娘・いづみは、家族ぐるみで交流していたおぼんを「第2のお父さん」と慕っていた。しかし、いつしか2人の仲がこじれてしまった。その仲直りをさせようという企画が『水曜日のダウンタウン』(TBS)の「おぼん・こぼん THE FINAL」だ。そもそも同番組の「芸人解散ドッキリ 師匠クラスの方が切ない説」(2019年)で2人に解散ドッキリを仕掛けたことで彼らの関係が世間の知るところになった。その後、「催眠術ドッキリ」で仲直りさせようとするも失敗。そして今回、娘の結婚式での和解を目指すという展開になったのだ。だが、冒頭の2人揃っての新婦入場は、まだ序章にすぎなかった。
いづみは「仲直りしていただけないでしょうか?」と訴え2人の握手を求めるが「ごめんな。こいつが意思表示しないと握手はできんな」とおぼん。それでもこぼんは事前に「仲直りじゃなくて普通でいいんじゃない?」と言っていたように「普通に戻りましょうか」と歩み寄る。が、「普通ってなんや?」と頑ななおぼん。よく歳を取ると丸くなるとかいうが、実際はそういう部分はあるけど、頑固な部分はより頑固になってしまうもの。それが結婚式という場でも出てしまう。「性格悪すぎるわ」「お前がな」「ほら」と往年の漫才のような良いテンポで口喧嘩する2人。遂にこぼんが「もう辞めましょうか」という決定的な一言を発してしまった。
普通の番組ならなんだかんだ言ってハッピーエンドに収まるだろうと思うが、この番組はこれまでもバッドエンドをバッドエンドのまま放送してきた為、このまま「解散」ということになってもおかしくない。実際、本当に紙一重のところまで行っていただろう。ナイツやマネージャーたちが必死の説得を試みるが、なかなか2人が折れることがない。しかし、唐突に「俺も入れ替えるからお前も入れ替えや。もういっぺんやり直そう」と手を差し出すおぼんに応え、こぼんが手を握る。何が決定打になったのかはわからない。けれどそれが本人たちにしかわからない関係性があることを逆に浮き彫りにしていてリアルだった。
修復不可能と思えるほどこじれた仲をギリギリ保っていたのは漫才で、仲直りした最大の要因も面白い漫才をしたいという思いだった。最後に2人は揃いの衣装で漫才を披露。「仲直りするときはこのネタって俺はもう決めてた」というおぼんの一言に、ずっと仲直りしたかったんだという心情があらわれていた。『水曜日~』にしか撮れないであろう説明し難い感情にあふれた、こじれた愛の人間ドキュメンタリーだった。
INFORMATION
『水曜日のダウンタウン』
TBS系 水 22:00〜
https://www.tbs.co.jp/suiyobinodowntown/