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ガルパン、乃木坂…再び物語コンテンツの聖地になる予感

 民間の調査会社による都道府県の「魅力度ランキング」では、茨城県が7年連続最下位のあと、一度42位に浮上してまた最下位に戻ったと報じられた。茨城県の大洗やMV撮影地を聖地として巡礼する『ガールズ&パンツァー』や乃木坂46のファンならずとも、いささか納得しかねるランキングではある。だが、この茨城県に対する評価は遠くない将来、コンテンツを起点として逆転するのではないかと思っている。

ドラマ本編より©︎茨城県

 現時点で『県北高校フシギ部の事件ノート』には日本語字幕しかついていないが、YouTubeの機能では後から英語を始めとして各国語の字幕を追加することができる。茨城の深い森と日本の民話の普遍的な魅力をYouTubeというインフラに乗せることができれば、どこかの県が上がればどこかの県が最下位とはやしたてられる不毛な国内ランキングとは別に、茨城県の魅力を世界に伝え、世界から茨城県に人を呼ぶことも可能になるのだ。

 県がコンテンツ制作を通じて若い才能にチャンスを与え、その若い才能たちの「聖地」として茨城が認知される、幸福なスパイラルはもう回り始めているように思える。

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 エヴァーグリーンという言葉は、常緑樹という本来の語義から転じて、いつまでも色褪せない不朽の名曲を意味する英語だ。茨城の森の奥深くで撮影された『県北高校フシギ部の事件ノート』は、流行が移り変わる街の風景が映らない分、10年後20年後に見ても瑞々しい物語として生き続けるかもしれない。

不動滝(茨城県提供)

 折口、宮本、柳田という3人の高校生の苗字は、言うまでもなく日本を代表する民俗学者から取られている。茨城県にある柳田國男記念公苑は、『遠野物語』を残した柳田國男がこの地で少年期を送った経験が民俗学者へのきっかけになったことを記念した施設だ。企画・原案の東野氏は、そうした民話と故郷へのオマージュとしてこの作品を企画したのだろう。

 背景で若い俳優たちを包むように輝く深く濃密な森の映像を見ながら、『遠野物語』の昔から永遠の緑に輝く茨城の土地は、再び物語コンテンツの聖地になるのではないかという予感がしている。