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ストレスは悪いもの…?ではない! 『スマホ脳』の著者が明かす、大事なときに実力を発揮できる人になるための“たった一つの方法”

『最強脳―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業―』より #1

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 命の危機とまではいかなくても怖いことはあります。例えば、人前で話すのが怖いという人は大勢います。あなたもそういうタイプなら、気持ちが良く分かるでしょう。クラス全員の前でクマの冬眠について発表しなければいけないとなると、心臓がドキドキして、口の中が乾いてカラカラになります。

 それも、体と脳が「戦うか逃げるか」の準備をしているからなのです。この場合は、戦うのも逃げるのもあまり良い解決策にはなりませんが。

 こうしたストレス反応はつまり、「危険」だと思ったことに脳や体が備えてくれているのです。言い方を換えれば、適度なストレスは大事な時に実力を出させてくれるのです。まさに、自分自身をレベルアップさせてくれる存在なのです。

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脳からの警報

 ただし、ストレスが強過ぎてパニックを起こしてしまっては困ります。しかし、ストレスが強くなり過ぎたり、長い時間ストレスを受け続けたりしていると、実際困ったことが起きるのです。1日中「戦うか逃げるか」という態勢でいるのは体に良くないことだからです。

 ストレスが強くなり過ぎるのは、脳の中にある「扁桃体」という小さな部分におもしろい役割があるせいです。この扁桃体は真っ先に危険に気づき、警報(非常ベル)を鳴らしてくれるのです。それを合図に、体にストレス反応が起きます。

 扁桃体はいつも周りに気を配っていて、何か危険なことがありそうだと感じると、すぐに反応します。また、扁桃体は危険に出合った時に体がどう反応するかも覚えています。例えば、脈拍が上がり心臓がドキドキするといったことです。そうなると扁桃体は恐ろしいことが近づいているのだと誤解して、さらに激しく警報を鳴らします。すると心臓はなおさらドキドキして、あなたは集中していた状態からパニック状態に陥ってしまうのです。

 そうなってしまうと、発表のために勉強したクマの冬眠のことなど、頭から吹っ飛んでしまうでしょう。完全に思考が止まってフリーズするか、関係のないことをペラペラしゃべりだすかになるのです。