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ストレスは悪いもの…?ではない! 『スマホ脳』の著者が明かす、大事なときに実力を発揮できる人になるための“たった一つの方法”

『最強脳―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業―』より #1

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時間に追われるストレス

 別の種類のストレスもあります。さっきまでいくらでも時間があると思っていたのに、突然、急がなければヤバいとあせることはありませんか?

 これも先ほどと同じ脳の働きによるものです。扁桃体が「これはまずいぞ」と警報を鳴らし、体のストレスホルモン「コルチゾール」のレベルが上がります。それでも、ありがたいことに脳にはブレーキがあります。「時間がない!」とあせってしまう自分を変えたいなら、やはり扁桃体の反応を抑え、海馬と前頭葉をきたえる必要があります。つまりこの場合も解決法は「運動すること」なのです。

脳が怖さを感じなかったら

 昔、興味深い実験が行われました。少し怖いような実験でもあります。サルの脳から、手術で扁桃体を切り取ってしまったのです。危険を知らせてくれる扁桃体がなくなると、サルたちは怖がらなくなるのでしょうか。

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 どうすればサルの気持ちが分かるだろうかと考えて、研究者たちは生まれながらにサルが(人間もたいていは)怖いと思う物を見せることにしました。ヘビを見せたのです。

 すると、まさしく研究者たちが思った通りになりました。扁桃体がなくなったサルたちは、まったくヘビを怖がらなかったのです。むしろ興味津々で、ぶんぶんふり回して遊び始めたほどでした。

 つまり扁桃体がないと、「怖い」という気持ちが一気に減ったり、完全になくなったりするようです。

 怖い思いをしなくてすむのはうらやましい気もしますが、怖さを感じないことには問題もあります。危険な物に対して怖いと思うことは重要だからです。毒を持つヘビや猛スピードで走ってくるバスのことは怖いと感じた方がいいのですから。

【続きを読む】理想的なスマホライフを送れている子どもは“20人に1人”…稀代の脳科学者が明かすスマホとうまく付き合うための“効果的な対策”とは

最強脳―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業―(新潮新書)

アンデシュ・ハンセン ,久山葉子

新潮社

2021年11月17日 発売

ストレスは悪いもの…?ではない! 『スマホ脳』の著者が明かす、大事なときに実力を発揮できる人になるための“たった一つの方法”

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