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理想的なスマホライフを送れている子どもは“20人に1人”…稀代の脳科学者が明かすスマホとうまく付き合うための“効果的な対策”とは

『最強脳―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業―』より #2

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 しかし、ネズミたちはお腹が空いた時にしかそこに行きませんでした。それ以外は以前と変わらぬネズミ・ライフを楽しんでいたのです。ところが、その装置を時々しかエサが出てこないように設定すると、興味深いことが起きました。

 レバーを押してみたいという気持ちが急に大きくなったようなのです。ネズミたちは必死にレバーを押すようになり、遊んだり、走ったりというようないつもやっていたようなことには興味を示さなくなりました。「今度こそエサをもらえるかも……」、そう期待して、レバーばかり押すようになったのです。

 ネズミの脳はつまり、「不確かなこと」が好きなのです。それは私たち人間も同じで、「もしかしたらもらえるかも……」と思った時の方が、より多くのドーパミンが出ているのです。

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 だから着信音や通知音が鳴ると、もうスマホを見ずにはいられないのです。今度こそ、とても大事なメッセージが来たかもしれない。SNSに運命の投稿があったかもしれない。かも、かも、かも……そしてスマホをタップし続けるのです。

 知っての通り、ドーパミンが出るのは脳が良いと思うことを私たちにさせるためです。だからこそ、やった後よりも「やろうとする時」にごほうびを出した方が効果的なのです。

 たいていの場合、スマホに届いたメッセージを読んでいる時よりも、通知が来た時の方が、脳の中でたくさんごほうびが出ているそうです。

理想的なバランス

 研究によれば、7歳の子供には次のような時間配分が良いそうです。つまりこれが理想的な生活です。

・運動 1日最低1時間

 

・睡眠 毎晩9~11時間

 

・スクリーンタイム(スマホやタブレット、パソコンやテレビといった機器を使う時間) 1日2時間まで

 しかし実際のところ、たいていの子供は理想的な生活とはほど遠いバランスで暮らしています。この時間配分を保てているのは20人に1人程度です。