昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

source : ライフスタイル出版

genre : ニュース, 読書, メディア, 政治, 社会, ライフスタイル

公人に対する批判は個人を攻撃しているわけではない

内田 公人に対しては尖ってもいいと思うんです。何もその人の個人的な人格を攻撃しているわけではなくて、その人のオフィシャルな言動に対する批判ですから。その人がまとっている「鎧兜」に向けての批判なんですから、それはやっても構わないと思います。

©️iStock.com

武田 それは僕も常々思っていることで、公人に対する言葉と、私人に対する言葉を冷静に使い分ければいいだけの話です。それを混在させて「文句はよくない」とすると、公人の逃げ道が増えるだけです。でも、たとえば安倍晋三元首相に批判を向けると、「いや、いつまでも安倍さんがかわいそうだよ」「ご病気で辞められたのに、そんなこと言うもんじゃない。まずは感謝でしょう」などという声が出てくる。公人と私人に向けられる言葉の違いさえわからない人が増えていますよね。メディアも、自分たちが批判されるのを怖がり、公人への指摘を緩めてしまう。

内田 公人自身がおのれの職務についての批判を自分個人に対する人格攻撃と捉えて、感情的に反応するからだと思います。でも、本来公人というのは私的感情を前面に出すべきではないんです。その地位が求めている公的な言葉づかいやふるまい方のうちにとどまるべきなんです。こちらは別に公人の内面になんか用事はないんですから。公的に何を言うか、何をするかだけが問題なんです。

 公人というのは私人としての内面と公的な言動との間に齟齬があって当然なんです。心にも思ってもいないことでも、立場上言わざるを得ないときは言う。やりたくないことでも、立場上しなければいけないなら、やる。「やせ我慢」ができることこそ公人に必須の条件だと思います。

【続きを読む】

コロナ後の世界

内田 樹

文藝春秋

2021年10月20日 発売

偉い人ほどすぐ逃げる

武田 砂鉄

文藝春秋

2021年5月27日 発売

この記事の写真(5枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

ライフスタイル出版をフォロー
z