国内各地のキャンプ場は予約でいっぱいで、“ハマった”という芸能人も続々登場、特集されるアニメや雑誌も出てきて……と、ここ数年、キャンプブームが再来しています。アウトドアギア大手スノーピークの株価も鰻登りなのだとか。前回の流行は1990年代。「あの頃の夢よ、もう一度」というアウトドア業界の悲願がようやく成就したといえるかもしれません。
そんなアウトドア・キャンプの楽しみの一つで、今回のブームを牽引したのが、メラメラと揺らめく炎が美しい焚き火と熱々の野外料理の数々。かつては串に刺した肉と野菜をひたすら焼くだけだったBBQですが、今は色々な料理アイテムが豊富に販売され、焚き火や炭火の熱で美味しく調理できるレシピが揃っています。
しかしキャンプ初心者を悩ませるのもまた、焚き火の着火なのです。これに手間取り、夕暮れ時の寒いなか白けた状態になってしまった入門キャンパーは数知れず。
そこで今回は、アウトドア雑誌で写真撮影を担当するかたわら、海外各地の農村・漁村に居候取材を長年続け、今なお日々の生活に残る「暮らしの焚き火」を数多く体験してきた私、カメラマンの阪口が、長年の経験と試行錯誤のもとで辿り着いた「簡単焚き火ノウハウ」をご紹介したいと思います。
まずは焚き火を楽しむ場所選び
焚き火で最初に大切なことは、「許可された場所で、ルールを守ってやる」ということです。
この夏「焚き逃げ」という言葉がワイドショーやSNS上を賑わせておりました。言葉の解釈としては「焚き火を楽しむだけ楽しんだら、片付けをしっかりせずにそのまま放置して帰ってしまう不届きもの」というところでしょうか。
昔からそのようなマナー違反をする人々はおりましたが、ここ数年のブームによって、放置されるゴミや焚き火跡が急増したのも事実。食べ残しやプラ製品のゴミを放置する行為は問題外として、昔に比べ環境保全や美観に関する意識が高まり、ススや地面の焦げ跡など焚き火の痕跡が問題になることも増えました。
もちろん、燃焼が終わっていない炭火などの放置は大問題。ぜったいにしないように! 焚き火はキャンプ場などの許可されたエリアで、焚き火台の使用等、その場所のルールに従って行い、来た時よりも美しくをモットーに楽しんでください。