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1台約200万円も…中国製イカサマシューターの“稼働時間”

 漆原氏は苦笑いしながら語る。

「イカサマシューターは200万円と高価なものなのですが、中国製ということもあり電力の消費は早いしすぐ故障する。故障は闇カジノ側としては死活問題になるので、日本製のシューターが作れないかと模索したこともありました。

 しかし、工場からシューターの発注数が少ないとあまりに巨額になってしまうと聞き、泣く泣く断念しました。中国製シューターはあまりに故障が多いし稼働時間が2時間ほどしかない、ということで最近は廃れてきているようです」

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 故障がちで稼働時間も短いという中国製イカサマシューターに代わって、近年、導入が進んでいるのがカタツムリ型の新マシン(写真)だという。こちらも海外カジノで使用されていたもので、価格は1000万円以上と更に高価だが性能は段違いだ。

こちらが最新マシン。矢印の部分からディーラーはカードを引いていく

「この機械の特徴は簡単にイカサマが出来る“全自動シューター”になっているということです。準備はカタツムリにカードを入れるだけ。マシンがカードを全て読み込んでくれるので、勝敗を簡単にかつ自由自在に操れる。リモコンスイッチを押すだけでBANKERが勝つか、PLAYERが勝つかを変えることができる。旧マシンのように赤外線でカードを読んで、出るカードを一枚一枚入れ替えるというような手間もかかりません。

 カタツムリ型マシンはイカサマではない普通のカジノで使われているマシンと同じ形をしているので、お客さんも普通のマシンだと思って警戒感を持ちにくいというのも特徴です。闇カジノだけではなくオンラインカジノなどでも使用されています。

 これからは中国製の旧マシンではなく、このカタツムリ型マシンが闇カジノでも主流になっていくと思います」(漆原氏)

 カタツムリ型マシンは闇カジノだけではなく、オンラインカジノなどでも普及が始まっているという。日進月歩で進化を続けるイカサマのテクノロジー。テーブルの上のマシンを客はどこまで信用できるのか、という攻防が日夜続くことになるのである。

“職人”たちの「手仕事」

 マシンを使ったイカサマ以外にも、騙しのテクニックは様々ある。遠隔操作に頼らないアナログな技術も依然、闇カジノでは使用されているという。

 例えば客の目を盗んでディーラーがテーブル上でカードを入れ替えるというような初歩的イカサマもあるが、あまりにもリスクが高い。アナログ技術の中で、重要視されるのが緻密な職人技なのだという。

「私も闇カジノ業界に入ったばかりのころは、職人と呼ばれる人たちから『手仕事』と呼ばれるイカサマの技術を缶詰になって数週間訓練されたことがあります。こうした『手仕事』と呼ばれるイカサマの技術も韓国から流れてきたものが多いそうです」(漆原氏)