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 バカラでは52枚で一組のトランプを1デッキ(セット)とすると、4~8デッキ使用しゲームが行われる。イカサマを行う場合は、その中の2デッキ(104枚)に「組みカード」と呼ばれる勝敗が判るようなトランプの並びを作り仕込んでおくのだ。組みカードのことは、「ポン」、または「具」と呼ぶ。ポンとは、イカサマの通称である「ポンコツ」から取った隠語であり、具は後述するヤキソバなどのテクニックから来ている。

通称「ポン」と呼ばれる組みカード

「普通のトランプを組みカードに変えることを、闇カジノでは『ポン変え』と言うのが主流です。では、どのようにイカサマが始まったのを理解するのか。これは例え話ですが、組みカードの頭の並びの数字を決めておき、そこからはイカサマが始まりですよという合図を仕込んでおく。

 イカサマデッキ(ポン)が始まったらそこにも法則が仕込まれており、ディーラーはそれを覚えておく。あくまで法則の一例なのですが、例えばカードには背面が赤いカードと青いカードの2種類がある場合がある。そのデッキの中では、一番最初に赤いカードが出ればBANKERの勝ち、青いカードが出ればPLAYERが勝ち等の法則が決まっている組みカードになっているのです。

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 法則にはいろいろなパターンがあります。この法則を『ローズ』と言うのですが、ディーラーや一部の従業員は覚えておく。例えばローズを勝たせたいサクラの客に教え、ターゲットとなるカモを負けるように誘導させるなどの手法が取られたりします。

 また、1枚を抜けば勝ち負けを逆転させることが出来るなどの方法もあり、ディーラーの手さばきでカードを抜き、ターゲットのベットとは逆の方を勝たせるという技術もあります。ポイントは信用できる人間だけにローズを教えるということです」(漆原氏)

「いまのバカラで行われることは絶対にないのですが…」

 凄い技術を持った人間になると、テーブル上でカードをシャッフルしながら「組みカード」を作るという技術を持つディーラーもいるという。

「いまのバカラで行われることは絶対にないのですが、新品のカードをテーブルに広げます。新品のカードは1から13の並びになっている。それをグチャグチャとシャッフルするのですが、シッャフルすることを隠語で『焼きそば』といいます。鉄板の上で焼きそばを焼くような感じなのでそう言うそうです(笑)。

 適当に混ぜているように見せかけながら、例えば7以上の『ハイカード』の塊と、7以下の『ローカード』の塊を作るのです。この塊を『具』といいます。この塊をまたシャッフルしながら、ハイカードとローカードを組み合わせていく。シャッフルする時に一枚一枚カードを思いのままに噛合わせていくという技術があるのです。

 そうした手法で組みカードをテーブル上で作ってしまう。こうした凄い職人もいます。これこそ修業を重ねて身につける技術です。現在は闇カジノも素人が多いので、こんなことを出来る人はほとんどいません」(漆原氏)