遠隔操作が使えない場合に重要になる「サクラの存在」
バカラというゲームの構造は丁半博打と似ている。よく任侠映画などで丁に大きなベッド(賭け)があった場合、「半ないか。半ないか」と客を呼び込むシーンがある。これは賭けがイーブンではないと、差額が賭場の負担となるために客を呼び込むのだ。
例えば丁に100万、半に50万を賭けるというアンバランスが起きた場合、丁が勝った際の100万円を支払う為には、半に賭けられた50万円+差額分の50万円が必要となる。つまり賭場は50万円持ち出しとなるのだ。闇カジノでバカラを行う場合も、店側は同じリスクを背負うことになる。
「特にバカラの場合はバランスが保ちにくいゲームなので、店側としてはイカサマを必要とするという側面が強いとも言えます。遠隔操作が使えない店の場合は、よりサクラの存在が重要になります。
ターゲットを連れてくるジャンケット、もしくはターゲットの友人などは同じテーブルでゲームに興じるときは、サクラの役割を果たす。そこで店がLINEをサクラに送って勝敗を知らせる。
サクラは『こっちに張ったほうがいいよ』とかターゲットを誘導する。ターゲットも親しい相手だと『わかった。一緒に勝負しよう』とベットして共に負ける訳です。でもサクラには、あとで闇カジノ側は金を返し取り分も渡すので痛くも痒くもない」(漆原氏)
最低でも200~300万円、客によっては4000~5000万円を…
バカラで使用されるマシンや手仕事など様々なイカサマ。闇カジノ側が腐心するのが、いかにテーブルの上のゲームがイカサマではないと思わせるかの雰囲気づくりだ。適度に勝ちを入れてターゲットにギャンブルの快感を覚えさせて、時間をかけて吸い上げていく。最低でも200~300万円、客によっては4000~5000万円をイカサマで巻き上げるという場合もある。
「10億、20億円という例も普通にあります。例えばこの客は5000万円持ってきているというのが分かっているという場合。はじめは100万とか200万を勝たせる訳です。つまりシナリオを作って遊ばせる訳です。
私たちはこの客はイライラさせたほうが多額のベットをするのか、または楽しいほうがベット額が大きくなるのかを観察しながら把握する。芸能人や女性をサクラとして入れてターゲットをおだて上げるという場合もある。