エグイ店だと持ち金の5000万円以上を取りに行く。持ち金を超えた場合は『ボタ』という貸付も行います。ボタはその人間を借金でがんじがらめにするために行われます。
例えば中小企業の社長さんなら借金が膨らみ、会社で数億の銀行借り入れを行い、また溶かしてしまうという例もあります。横領、着服、金が取れると踏んだらありとあらゆる形でしゃぶり尽くして行く訳です」(漆原氏)
表のカジノと闇カジノの“違い”は…
巨額の金を溶かしてしまうバカラというゲーム。その狂乱はメディアでも度々、取り上げられてきた。大王製紙子会社7社から55億3000万円を借り入れて損害を与え、会社法の特別背任罪に問われた大王製紙元会長・井川意高氏のケースしかり。
「老舗家具メーカー経営者が賭博で味わう『敗北の味』」(週刊新潮 21年8月5日号)という記事では、光製作所の創業者である安岡光雄前会長が、イカサマバカラで12億円もの大敗を喫したと報じている。前者はラスベカスやマカオを舞台にした話であり、後者は日本の闇カジノで起きた事件である。表のカジノと闇カジノにはどのような違いがあるのだろうか。
「日本でもIRが導入される予定です。闇カジノを経営していた私が気になるのは、どのようなグループが日本に入ってくるのか、ということです。
例えば韓国の会社が入ってくるとすると、イカサマシューターも手仕事も韓国から伝わってきた技術ですから『イカサマ対策は大丈夫か』と思う訳です。もしかしたらMGMグループは普通かもしれない、とか考えたり。カジノグループがどのような経営方針でやっているのかが気になりますよね。イカサマはどこのカジノでも起こり得る現実なのですから。
闇カジノでも、イカサマが少ない店はある。表カジノでも、海外にあるような豪華なカジノ施設は儲ける必要がある。そこにイカサマが入り込む余地がある。IRを導入するということは、そんなグレーな文化を受け入れるということでもある。昔から『飲む、打つ、買う』と言うようにギャンブルはいつの時代も人間の欲望を刺激する。ぼったくり、イカサマ、美人局という犯罪がそれらにつき纏うように、欲望の裏側には常に闇がある。客はグレーだと頭のどこかで分かっていながらハマって行くのは、ギャンブルに何がしかのガス抜き効果があるからなのです……」(漆原氏)
ギャンブルが抱える闇は果てしなく深い――。
写真・動画=赤石晋一郎