昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2021/11/25

統合失調症における「屈曲点」

 問題は、就職して3年目。久保木被告は病院内の障害者病棟に異動しています。障害者病棟では、患者の容体急変が度々ありましたが、急変時の処置や家族への説明が適切におこなえなかった。さらには、患者の死に直面することになります。

「自分の看護が行き届いておらず、自分のせいで患者が死んだのではないか」――被告は次第にこう思い悩むようになり、抑うつ気分、不安、不眠などが出現し、仕事を休みがちに。2014年4月にうつ病と診断され、その後休職しています。

 恐らくここが、統合失調症における「屈曲点」です。

 つまり、久保木被告がうつ病での通院を開始した頃、統合失調症の最初のプロセスに入っていたと考えられます。うつ病と統合失調症はそれぞれ別の疾患ですが、統合失調症の前駆症状として、うつ病やうつ状態が見られることは稀ではありません。精神医学の世界では「若年者ではうつ病のように見えても、統合失調症を疑え」と教わります。

出会い系サイトの利用が頻繁に

 うつ病を発症してから、久保木被告の精神状態、社会適応度は明らかに変化しました。

 久保木被告は、もともと出会い系サイトを利用することがありましたが、障害者病棟に異動になってからは利用が特に頻繁になった。出会い系で出会った男性とはその場限りのお付き合いをすることが多く、自暴自棄になっていたようです。

 また、抑うつ気分と不安感に加えて、思考・行動の抑制、集中力の障害がみられるように。調子の悪さや朝の辛さを自覚するようになり、結局、仕事を続けられる状態ではなくなりました。2015年4月、系列の診療所を退職します。

 2015年5月8日、旧大口病院に採用されて勤務を開始。配属されたのは、終末期医療を専門とする4階病棟だった。多くの患者が会話に不自由であり、寝たきりのまま点滴につながれている状態だったという。

 久保木被告の精神鑑定を担当した、昭和大学医学部精神医学講座主任教授・岩波明氏による「殺人看護師の精神鑑定」の全文は「文藝春秋」2021年12月号と「文藝春秋digital」に掲載されています。

下記サイトでこの記事をより詳しく購読できます↓
※ロゴをクリックすると各サイトへ移動します
文藝春秋

この記事の写真(3枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文藝春秋をフォロー