帰路は昼行列車モードでヒルネ
◆2021年9月8日 12時
「WEST EXPRESS 銀河」、紀南ツアーの帰路は昼行列車モードになる。新宮発は12時ちょうど。定期列車の隙間を縫って10時間かけて走り、京都着は22時24分。東京行きの「のぞみ」は終わっているため、京都駅前のビジネスホテルに泊まった。いま思えば大阪発0時33分の東京行き「サンライズ出雲・瀬戸」に乗り、夜行列車で締めくくる趣向もあったけれど、京都に泊まったおかげで京都タワーを見物できたから良しとしよう。
帰路のWEST EXPRESS 銀河もファーストシートだったけれど相席はなく、向かい合わせの座席を1人で使わせてもらった。しかも復路は海側の席。往路とは逆になるように配慮されていた。太平洋の景色を眺めつつ、またベッドモードにして「ヒルネ」を再現してみた。昔の長距離寝台列車は、日中の運行区間が長い場合にその区間だけの立ち席特急券が発売された。立ち席といっても、空いた寝台を使って良いので「ヒルネ券」と呼ばれていた。
長時間停車駅は紀伊勝浦・太地・古座・串本・周参見・白浜・海南。それぞれの駅で歓迎イベントや地産品の販売が行われた。太地駅では鯨の竜田揚げが配布された。「懐かしいなあ、小学校の給食で出たな」「それを言ったら歳がバレるでしょう」と和やかな雰囲気。私にとっても懐かしいけれど、あのときの給食よりずっとおいしかった。
やっぱり夜行列車が好きだから、もっと自由を
◆2021年11月24日
旅から2カ月が経ち、さすがに余韻も薄れているけれども、記憶に残る良い旅だった。
しかし、この素晴しい旅は「WEST EXPRESS 銀河」の本来のコンセプト「もっと気軽に列車の旅を楽しんでほしい」とは異なる。もともとはツアー専用ではなく、時刻表にも掲載される臨時列車として運行し、誰もが「運賃+料金」で乗れる列車という構想が発表されていた。普通席は運賃と指定席特急料金、グリーン席や個室は追加料金。そして、任意の停車駅間を利用できる。それこそが、かつての夜行列車の再来であり、多くの乗り鉄が望んでいたことだった。しかし、コロナ禍で個人旅行が難しく、感染対策のコントロールが必要となった結果、旅行会社主催のツアー専用となってしまった。
JR西日本の代表的な観光列車として、2017年に誕生したクルーズトレイン「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」がある。山陰地方と山陽地方の2コースで、最新鋭の車両を使い、個室のみ。最上クラスは1両1部屋。ドレスコードを持つ豪華列車で、ツアー料金はひとりあたり27万~125万円。この列車も大変な人気となり大成功となった。しかし一方で、もっと気軽に旅を楽しみたいという声も上がった。そこで作られた列車が「WEST EXPRESS 銀河」だ。