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連載日の丸女子バレー 東洋の魔女から眞鍋ジャパンまで

2021/12/25

バレー界の代表選手として

 眞鍋ジャパンで大きく成長した木村に、元ドイツ代表監督率いるワクフバンクから、100万ユーロの年俸が提示されたのも当然だった。日本の女子チームスポーツで初めて提示された巨額の年俸は、木村が全日本で眞鍋、コーチ、チームメイトに支えられ、成長した証でもあった。

 ただ、もし木村がかつてのバレーがうまいだけの選手であれば、100万ユーロを前にしても心は動かなかったはずだ。それほどかつては日本を離れるのを嫌がっていた。

 しかし、日の丸を背負うことを覚悟した今の木村は違う。

ロンドン五輪前にスランプから脱した木村沙織 ©文藝春秋

「日本が大好き。試合で海外遠征に行くのさえ好きじゃなかったんですけど、“世界”と闘うために決断しました。全日本で試合をするとき、海外の選手と試合をするじゃないですか。そこで自分は『さあ、世界と闘うぞ!』と気合を入れ直さなければならないけど、欧州でプレイしている外国人の選手は、リーグ中も母国以外のチームで闘っているから、国際大会でも普段通りに出来るんだって気がついたんです。だったら、私も海外でプレイすれば、世界を意識することがなくなって、全日本のレベルを上げられるんじゃないかと思いました」

 1人のバレー選手から、全日本の不動のエースとして視界が広がった。視界が広がると、ほかの競技にも目が向けられる。

「同年齢の本田圭佑、長友佑都、ダルビッシュ有選手らの世界で活躍する姿にも刺激されました。私もバレー界の代表選手として、彼らに負けてられないな、って」

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