イラスト 中村紋子

 今年の新語・流行語大賞、ノミネート30語が発表されたわネ。ボクが年間大賞語と予想するのは「忖度(そんたく)」。安倍総理は授賞式に来られないだろうから、加計系列の千葉科学大名誉客員教授、萩生田自民党幹事長代行が出席されたらいかがかしら(笑)。

 とうとう岡山理科大の獣医学部新設が文科相によって認可。安倍総理は「私が関与したと言った方は一人もいない」と自信たっぷり。でも、言ってもいないのに言った以上の力が働いてしまう、そのことが大問題よね。

 岩盤規制に風穴を開けた、と総理は胸を張るけれど、国家戦略特区になった時点で風穴は開く。認可されるだろう、という前提で全てが動く。それをきちんと検証するプロセスこそが大事なの。

ADVERTISEMENT

 これまでも教育分野では特区構想のもと、様々な試みがなされてきた。たとえば、小泉内閣の構造改革特区による「株式会社立高等学校」では、ずさんな授業や就学支援金不正受給などが明らかになった「ウィッツ青山」など、問題例も目立っている。不登校の子供達の通うフリースクール「東京シューレ」が葛飾区で中学校として認められたケースなど成功例もあるけれど、営利を目的とするビジネスの原理が、教育の理念より優先される恐れもあるということ、行政は重く受け止めなくてはいけないわ。結局その割を食わされるのは子供・若者なの。

 問題の獣医学部については、大学設置審が当初から懸念していた教員の高齢層への偏りが解消されるのか心配。牛や豚など大型動物を相手にするのだから指導する側にもかなりの体力が必要よ。学生定員も百六十人から百四十人に減ったけど、まだ全国平均の二倍以上。質を担保できるのかしら。そもそも既に受験シーズンなのに、来年四月開学なんて急すぎる! 国際基準の教育を目指すには、「忖度」抜きの議論が不可欠ね。