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 ──死刑囚とはどのような人たちでしょうか。

「ある意味でわがままな人が多いと感じます。自己中心的なところが見えますね。そうでないと、他人の命を奪えないのではないかとも思います」

 このインタビューの約2カ月前には、東京拘置所で1名が死刑執行されている。松田処遇部長に「立ち会ったのですか?」と尋ねると、やや顔をこわばらせながら「それは、職務ですから」と短く答えた。独居房から連行されるときの様子はどうだったのかとの質問には「私はその場にはいなかったのでわかりません」と話し、それ以上、言葉を続けようとはしなかった。

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 インタビューに加えて直近の執行に対する質問で、松田処遇部長の脳裏に重苦しい記憶がよみがえっていたことは想像に難くない。こわばった表情からは、拘置所内で日常的に死刑囚と接しながらも、いずれその死を見届けなければならないという刑務官の厳しい現実がにじみ出ているようだった。

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宗教人による「教誨師」という仕事

 確定死刑囚が執行の直前、接することのできる人のなかで、刑務官や立ち会いの検事でもない唯一の「民間人」が教誨師だ。

 教誨師は、牧師や神父、僧侶などの宗教人で、それぞれの宗派の教えに基づき、刑務所や拘置所などの被収容者に対する心のケアを行う。全国教誨師連盟によると、全国には1820人の教誨師がおり、仏教系が1191人、キリスト教系が252人などとなっている(2020年1月現在)。

 活動はボランティアが基本で、定期的に刑務所や拘置所に通い、集団または個別で教誨を行う。とりわけ、死の運命に直面している確定死刑囚は、教誨師を心の大きなよりどころにしていることが少なくない。

 全国教誨師連盟は教誨の目的について、ホームページの中で次のように記している。

「教誨は自己の信ずる教義に則り、宗教心を伝え、被収容者の徳性を涵養(かんよう)するとともに、心情の安定を図り、被収容者には自己を洞察して健全な思想・意識・態度を身につけさせ、同時に遵法の精神を培(つちか)い、更生の契機を与える。もって、矯正の実をあげ、社会の安定に寄与することを目的とします」