夫婦それぞれが一人の人間として幸せな人生を送るため、お互いの考えを尊重したうえで将来的な離婚を約束する“離婚約”を行う人たちがいる。

「“子どもの高校卒業まで”など期限を決めて冷静に条件を話し合える」「お互いにじっくり自分の気持ちと向き合える」「終わりが見えることで相手に寛容になれる」……。さまざまなメリットがあるというが、はたして実際に“離婚約”をした当事者たちはどのような思いで日々を過ごしているのだろう。

 ここでは、フリーランスのイメージコンサルタントとして活動するのらりくらら氏の著書『離婚約、してみました。 別れてもヨリを戻しても幸せになるために』(光文社)の一部を抜粋。実際に離婚約をした2人の男女に行ったインタビューのもようを紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)

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4年後の離婚を見据え、「離婚約」中のかなさん(44歳)の場合

 私と同じように現在、離婚約中のフリーランスPRのかなさん(44歳・仮名)。顔が広く、いつも仲間とご飯をしたりフットワークも軽く、しょっちゅう地方出張に行っています。オシャレでさばさばした性格。その一方で、高校生、中学生と成長した子どもたちをいつまでも心配し、深い愛情を注いでいる印象があります。離婚約の満期は4年後です。

くらら 離婚しようと思ったきっかけは何ですか?

かな 特にコレという大きな理由はないんです。これまでの小さな不満などが積み重なった結果なのかなと思います。

 夫は金融系の仕事で、子どもが小学生のころ、多忙とプレッシャーから鬱っぽく塞ぎ込みがちになった時期がありました。仕事をスローダウンしたことで少しずつ元の夫に戻り、その一件以来、夫は家にいる時間が増え、料理や掃除などの家事全般をやるようになりました。実は離婚を決意する1年くらい前までは月2回は性生活があるほど夫婦仲がよかったんです。

くらら えええ。私もそうですが、離婚約をする人は性生活がない人が多いイメージでした。性生活があるくらい仲がよかったのに離婚したいと思うことがあったんですか?

かな 理由は思い出せないくらい些細なことが原因で言い合いになり、その時点で夫のことは男性としてもう好きではないと確信して。その流れで夫には離婚したいと話しました。