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 でも私は長女だったし、親も子供が欲しいと考えてるんじゃないかと思って、母に「子供欲しいと思ってる?」って聞いたら「いや、もう加トちゃんが私にとっては子供みたいな、息子みたいなもんじゃけ。子供がおる人生だけが幸せじゃないよ。あんたらにしかできないことは、いっぱいあるんじゃけ。そこに幸せを求めんでいい」と言われて、気持ちがすごく楽になりましたね。

 加トちゃんとは、面と向かってそういう話をしたことがなくて、お互いに悩んでいた部分だったと思うんです。あっちも私のことを気遣っていてくれたし。でも親からのその言葉で、私は吹っ切れたというか。だから子どもについてのモヤモヤは、なくなりましたね。

誹謗中傷にも「ありがとうと思いますね」

――最後に、今年結婚10周年を迎えられた心境を教えていただけたら。

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加藤 最初の4年間は、人生の中でもベスト3ぐらいのしんどさでした。結婚生活というより世間からのバッシングが。加トちゃんがブログに揚げ物の写真を上げたときに、「とんかつで殺す気か」っていうクレームが来て、そこから毎日のように誹謗中傷されました。でも今は、逆によかったと思っています。だって急に、田舎の小娘が加トちゃんと結婚したら、出会う人も環境も変わるわけじゃないですか。絶対調子に乗るし。

 自立しなくても、普通に暮らしていけると調子に乗って、間違えた人生を歩むぐらいだったら、いろいろ言われて目が覚めてよかったというか。もちろんひどい言葉もあったんですけど、たしかにと納得することも言われたんです。

 それが料理や、資格を取得するきっかけになったので、今は感謝していますね。周りの人への思いやりを忘れずに、いつまでも健康でいられるように、これからも頑張っていきたいです。

©釜谷洋史/文藝春秋