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クラクラする石油臭、浴室に浮かぶ“城”、泳ぐ魚と目が合う風呂…絶対に残したい「昭和レトロ謎温泉」ベスト10

クラクラする石油臭、浴室に浮かぶ“城”、泳ぐ魚と目が合う風呂…絶対に残したい「昭和レトロ謎温泉」ベスト10

「昭和レトロ謎温泉」ベスト10

2021/12/26
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5位 八尻鉱泉湯@鹿児島県

 薩摩半島の南部、鹿児島県南九州市の国道225号から山間の細い道に入ると、鄙びた鉱泉の看板を見つけた。そこから未舗装の林道を登った終点に、名前からして怪しさ満点の公衆浴場、八尻鉱泉湯はあった。

5位 八尻鉱泉湯@鹿児島県
5位 八尻鉱泉湯@鹿児島県
5位 八尻鉱泉湯@鹿児島県

 昭和58年に建てられた浴室内は、水色のタイルが懐かしさに満ちている。浴槽に張られている湯はほとんど無色透明だが、硫化水素イオン、鉄イオン、アルミニウムイオンなどを含む希少な鉱泉で「不思議の湯」と呼ばれている。適応症はあまり聞いたことのないソゲ出し、トゲ、痔、デキモノ、内臓、リューマチと万能の鉱泉だ。ソゲ出し、トゲの違いはナゾだが八尻(はっじり)とは周囲の山の数のことだそうだ。

5位 八尻鉱泉湯@鹿児島県

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 浴感はなめらかかつさっぱりした肌触りで、浴後は爽快だ。80歳を過ぎた味のある店主も魅力だった八尻鉱泉湯だが、残念なことに惜しまれつつ2019年に廃業してしまった。

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