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ご遺体の包帯を取ると無数の切り傷が…!

――納棺師の方は全国で何人いらっしゃるんですか?

おくりびと青木 私が始めた頃は、まだ100人いるかいないかぐらいだっと思うんですけど、やっぱり映画とかの影響もあって今は1000人以上はいるんじゃないかなと思います。

――おくりびと青木さんはご実家が葬儀会社ということもあって、もともと人の「死」に対面することには慣れていたのでしょうか。

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おくりびと青木 見ることとかそういったものには慣れてはいたんですけど、納棺師になって、実際にご遺体に触れたり、臭いを嗅いだりした時に上手く行動が出来ないというか、あまりにもテンパってしまって、何にもできなかったこともありました。

「お笑い芸人」兼「納棺師」のおくりびと青木  ©文藝春秋(撮影・宮崎慎之輔)

 例えば、私が最初に担当させていただいたご遺体が、首を吊って自殺をされた方だったんです。長い時間、首を吊られていたせいか、しっかりと(首元が)濃い紫色になっている状態だったんですね。「首吊りってこんな状態なんだ」という感じだったんですけど、それだけでは終わらなかったんです。

 一緒にいた納棺師の先輩が「ちょっとこれはおかしいね」と言って、お身体を見させていただいたのですが、包帯ぐるぐる巻きになっていて。これはどういう状態なんだろうと、よーく見てみるとその包帯が徐々に赤く染まっていくのが分かったんです。このまま処置をしないとお洋服がまた汚れてしまうので、処置をし直しましょうということで一旦、包帯を取らせていただいたんです。すると、包帯を取ったそのお身体には、無数の切り傷がたくさんある状態で。実は、故人様は首を吊っただけではなかなか死にきれずにその場にあった包丁を自分に刺してお亡くなりになられたという状況だったのです。初めてのお仕事でそんな状態を見てしまったので、結構トラウマになってしまってその日はすぐに休ませてもらいました。あの時は全く何も出来なかったです。