文春オンライン

炎上劇で改めて感じた、プロとしては自分の持ち場で頑張っていくしかないのよねという結論

結局、誰が「老害」をつくるのか

2021/12/16
note

 書評家の豊崎由美さんが、Twitter上で個人の見解として「TikTokみたいな杜撰な紹介で本が売れたからってだからどうした」と記述して、軽くボヤが起きておりました。

豊崎由美氏「TikTokみたいな、そんな杜撰な紹介で本が売れたからってだからどうした」「書評書けるんですか?」~それへの反響 – Togetter
https://togetter.com/li/1814617

©️iStock.com

SNSを使うマーケティングが許せない「プロの書評家のプライド」

 TikTokやInstagram、Twitterなどソーシャルメディアでモノを売るマーケティングが最近とても充実してきていることもあり、そういうモノを売るチャネルや告知手段を知らないでうっかりしたことを書くと、結構簡単に老害扱いされてしまう現実があるのだなと思ったわけですよ。

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 もちろん、豊崎由美さんの発言を支持する人たちもいて、また、豊崎由美さんも当該発言を削除することもありません。その後、申し開き気味に「思ったことをそのまま書いただけ」と自ら燃料を投下するなど、しばらくカロリー高く黒煙を上げていたんですよね。元気があってよろしい。

 で、この辺かなり論点が広がっておりまして、ライターの飯田一史さんも記事に書いておられましたが、ただでさえ日本人の半分は月に1冊も本を読まないこの時代に、TikTokなどソーシャルメディア経由でもいいから本を買ってくれるムーブにケチをつけるべきではないという議論があります。

書評家が本紹介TikTokerけんごをくさし、けんごが活動休止を決めた件は出版業界にとって大損害
https://news.yahoo.co.jp/byline/iidaichishi/20211211-00272115

 他方、プロの書評家として仕事をしてきた豊崎由美さんとしても「本や著者を評価する仕事」に対して誇りも持っているでしょうから、本を売る仕事で譲れない一線を「TikTok動画で本を売る行為」が超えてしまったのでしょう。