12月10日、KDDIが新製品「G'zOne TYPE-XX」を発売した。プレスリリースが出るやいなや、ネット上では「伝説の最強ガラケー」として話題となった。

 そう、G'zOne TYPE-XXはスマートフォンではなくガラケー、「ケータイ」なのだ。

 スマートフォン全盛時代になぜケータイの新製品なのか。そこにはKDDIの切迫した事情がある。

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スマホを「触れない」人たちに刺さった「ケータイ」

9年ぶりの復活になったG’zOne(筆者提供)

 G'zOneシリーズは初代は2000年に発売され、耐衝撃、耐水性に優れており、登山やマリンスポーツをする人に人気のモデルだった。

 また、土木作業員や農業、林業の人は手袋をして仕事をするし、農業の人は土を触る。こうした職業の人たちはタッチパネルのスマートフォンは操作しにくい。G'zOneは耐衝撃や耐水性能がありながら、「ケータイ」ということでボタンで操作するため、多くの人に重宝されてきた。

「これが使いたい」の意識が強いユーザーたち

 G'zOneシリーズはカシオ計算機がつくっていたのだが、同社は2013年に携帯電話事業から撤退。以後、G'zOneシリーズは製造されなかった。

 KDDIではG'zOneの代わりになればと、京セラから「TORQUE」というタフネススマートフォンを調達していたが、それでもかたくなに「ケータイ」型のG'zOneを使い続ける人がいた。

 実際にKDDIの調べでは、いまでもG'zOneをこよなく愛用し続けるユーザーは数万人。2006年から15年、同じG'zOneを使い続けてきたユーザーもいたようで、G’zOneを使っているユーザーは「同じブランド、同じメーカーを使い続けたい」と希望する人がケータイユーザー平均の約5倍にもなったという。