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スペインでは視聴率低下で終了、Netflixが配信権を買って状況が一変…世界を熱狂させた“強盗団ドラマ”

2021/12/21
 

 韓国ドラマ『イカゲーム』の世界的大ヒットのように、会員数2億人超を誇るネットフリックスでは英語圏以外の作品が多言語に翻訳され、世界中で大ブームを巻き起こす例が増えている。中でも、ついに完結を迎えたスペイン発のドラマ『ペーパー・ハウス』は必見だ。欧州や南米では社会現象となる人気ぶりで、国際エミー賞も受賞している。

 本作で一貫して描かれるのは強盗団による“密室劇”だ。「教授」と呼ばれる謎めいたリーダーと「トーキョー」「ベルリン」など都市名をコードネームとするメンバーが金融機関に押し入り、金品を強奪する所謂“ケイパー(犯罪)もの”だが、本作は一味違う。なぜか彼らは“できるだけ長く”強盗へ押し入った現場に居続けようとするのだ。かくして物語は“籠城劇”の様相を呈していく。そうした内容で、最初の強盗事件はシーズン2まで(計22話)進行する。……と聞くと「なんだか退屈しそう」と思うかもしれないが、濃厚な人間ドラマと予測不能な展開の連続に目が離せない。

©佐々木健一

 しかし当初、スペイン国内でテレビドラマとして放送された2017年当時は徐々に視聴率が低下し、さほど奮わずに放送を終えたという。ところが、ネットフリックスが配信権を買うと状況が一変。世界中で熱狂的なファンを生み、人気に火がついた。あのスティーヴン・キングなど著名人もファンを公言し、劇中に登場する「ダリマスク」を被り劇中歌『さらば恋人よ』を熱唱してデモに参加する者も現れた。本作はドラマの枠を越え、「自由」や「抵抗」を表す現代のアイコンとなった。

 その影響力に目をつけたネットフリックスが続編の制作を依頼。巨額の予算がかけられたシーズン3以降は、まるで一話ごとに一本の映画を見ているかのような迫力と怒濤の展開が続く。英語圏以外の優良コンテンツを発掘し、全世界へ配信する“ハイパーローカル戦略”の最たる一作だ。

INFORMATION

『ペーパー・ハウス』
https://www.netflix.com/jp/title/80192098

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