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弱小チームを強化…「一番大事にしたのは目標設定」

 そもそも最初は部活と呼ぶのも憚られるような活動実態だったという。オフシーズンは3カ月もある。練習時間は短い。練習後にはふざけてサッカーに興じる。

「試合で勝った、負けたで泣いているのが恥ずかしいくらいの状態でしたから(笑)」

 そんなチームを変えるため、まず吉野が最も心を砕いたのが“意識改革”だった。

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「一番大事にしたのが目標設定です。目標設定とスローガン決めをシーズンの最初にやるんですよ。どこのチームもやると思うんですけど、僕が重視したのは『じゃあ目標達成のためにどれだけ努力しないといけないの?』という具体的なスケジューリングです。それを最初の1カ月くらいかけて、一切練習せずに話し合ってもらいました」

「目標設定」というのは簡単なようで実は非常に難しい。

 こと学生主体の体育会系のチームでは、つい勢いのままに高い目標を掲げがちだ。

 絶対に手の届かない「日本一」や「昇格」といったわかりやすい目標を掲げ、闇雲に走り続け、結局そこには届かない。そんなチームは国内にいくつもある。だからこそ、吉野はそこにリアリティを求めた。

 

「話し合いの中で、『これだけ現在地から離れた目標を立てたら、こんなに練習をしないといけない。自分たちはそこまでして勝ちたいの?』という、そういう疑問が出るところまで徹底的にやらせました。そのうえで、具体的な数字や数値が出てくるまでやるのが大事で」

 大きな目標を立てるだけでは、ただのビッグマウスで終わってしまう。

 それを掲げた以上、どうすればそこに到達できるのか。選手たちがそれを具体的に考えられるのを待ったという。

「話が煮詰まって来ると、例えば『チームの何人が、40ヤード走を何秒にして、ベンチプレスを何㎏挙げられるようになれば目標達成できるはず』というような話まで落とし込まれるんです。とにかく具体的な数字が出るまでやってもらいました。1カ月もミーティングをして、具体的な数字まで話が出てくると、全員の中で『あれ? これだけやれば本当に勝てるかもしれない』という感覚になるんです」

 そうして吉野が期限と決めていた3年目の2015年、ついに結果が出る。