文春オンライン

「ノリ(青木)がコロナでいなくなって『2番どうすんのよ』となり…」高津臣吾監督の“打順の決め方”が今シーズン大きく変わった理由

高津監督インタビュー #2

2022/01/01
note

「コーチ同士ですり合わせをして、選手が混乱しないように」

 その場の会議だけでは解決しないこともあり、担当のコーチが選手に確認を必要とすることもある。それは翌朝の会議への宿題となる。

「ウチのコーチ陣は、本当に前向きに仕事をしてくれていて、翌日になって僕が球場に行くと選手と話し合い、宿題に明快な答えを用意してくれてます。ですから、試合を基点として、会議では課題を抽出し、それをコーチが選手たちとの話し合いで確認する。試合前の練習で修正できるところは修正して、試合に臨む。これがプロ野球の監督、コーチたちの1日の流れです」

 会議でコーチたちに意見を求めるようになってから、より前向きな変化が見られたという。

ADVERTISEMENT

 コーチたちから「提案」が上がってくるようになったのだ。

「会議で意見を聞く、あるいは話を振るようにしていたら、今度はコーチたちから試合前にアイデアを提案されるようになったんです。『いま、彼の状態はいいですよ』とか、『相手投手の対策ですが、こういうことをやってみませんか』とかね。そうした風通しの良い空気を作れたのは良かったかなと思います」

©杉山拓也/文藝春秋

 ただ、意見を具申できる環境を整えたとしても、落とし穴はある。組織がいい流れで進んでいたとしても、監督として気をつけなければならないのは、指導陣の意見が「統一」されていることだ。

「組織が活性化してくると、アイデアも増えるので、意見が割れる可能性があるんですよ。いちばん避けなければならないのは、コーチの意見が割れてしまい、選手に対して言っていることが矛盾してしまうこと。たとえば、若手の投手に対して『初球からどんどんストライクを取っていけ』とアドバイスするコーチがいる一方で、『初球は慎重にボールから入るように』と助言する別のコーチがいたとしたら、投手は混乱してしまうし、指導陣に対する信頼をなくしますよね。

 だから、担当コーチたちに話したのは、選手の育成に関しては、きちんとコーチ同士ですり合わせをして、選手が混乱しないようにということです。そのあたりはウチのコーチ陣には安心して任せられます。最後の判断は僕がするし、責任も取るということです」

いろいろな意見があってもいい。しかし、最終的に判断するのはあくまで、リーダーの仕事なのである。

【続きを読む】「松井秀喜選手との対戦でカウント3-0のとき、本当に打者有利なのか?」“数字や配球のチャートを見るのが楽しい”高津監督が進化させた“野村ID野球”

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

「ノリ(青木)がコロナでいなくなって『2番どうすんのよ』となり…」高津臣吾監督の“打順の決め方”が今シーズン大きく変わった理由

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー

関連記事