事件そのものの真偽については、番組の中でも詳しく掘り下げられることはなかった。それがかえって生々しくて面白かった。
そんな緊迫感が漂う中で、松本が「ここ(太田)の奥さんが俺のツイッターをフォローしてんのよ。俺にもわからなくて。なんか、遠回しに威嚇されてんのかな」と言ったところ、太田が笑いながら「威嚇したのはそっちでしょう」と切り返した。
個人的にはこの言葉を聞いて「ああ、ずっとお笑いを好きでいて良かったな」と思った。長年にわたって密かに噂されていた「因縁」の物語が、こうやって笑いを交えた爽やかなエンディングを迎えたことに素直に感動した。
お笑い界に残っていた「最後の聖域」
かつてのお笑い界では「ダウンタウンととんねるず」「ダウンタウンとナインティナイン」など、共演NGと噂される大物芸人同士の組み合わせがいくつもあった。それらがどんどん実現してタブーがなくなっていく中で、最後に残っていた聖域が「松本人志と太田光」の組み合わせだった。
太田が持ち前の無謀さで果敢にタブーに斬り込み、先輩である松本が胸を貸した。笑いという1つの目的のために、芸風もキャリアも何もかも違う2人が1つになった。
「愛とはお互いを見つめ合うことではなく、同じ方向を見つめることである」という言葉がある。芸人と芸人の間に生まれた因縁は、笑いで解決するのに越したことはない。
ナインティナイン、フットボールアワー、アンタッチャブルなどの後輩芸人が見守る中で行われた、世紀のビッグカップルの初めての共同作業は、温かい笑いに包まれていた。