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「威嚇したのはそっちでしょう」太田光と松本人志…生放送で見せた“因縁の物語”の終焉《かつては共演NG説も》

「威嚇したのはそっちでしょう」太田光と松本人志…生放送で見せた“因縁の物語”の終焉《かつては共演NG説も》

2021/12/30
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そんな太田が唯一触れてこなかった“因縁”

 タブーなく何でも斬り込むように見える太田が、これまでに唯一触れてこなかったのが、ダウンタウンの松本人志との長年にわたる因縁である。彼らの間には過去に起こったとされる「事件」のせいで深刻な対立があり、これまでずっと共演していなかったのはそのためだとまことしやかに噂されてきた。

 確執の原因とされる事件の概要をここで述べることはしない。昔はそのことについてさまざまな噂が飛び交っていたが、今の時代にはググれば一発で出てくるようなことだ。そんな事件が本当に存在していたのか、あったとすればそこで実際には何が起こっていたのか、というのは当事者にしかわからない。ただ、少なくとも過去にそういう噂があり、両者がずっとまともに共演する機会がなかったというのは事実だ。

 唯一の共演となったのが、2014年3月31日放送の『笑っていいとも!グランドフィナーレ感謝の超特大号』(フジテレビ)である。ただ、このときには、タモリ、明石家さんま、とんねるず、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、爆笑問題、ナインティナインというレジェンド級の芸人7組が生放送の同じ舞台に立つという異常事態が起こっていたため、ダウンタウンと爆笑問題の間にはほとんど目に見えるやり取りはなかった。

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 むしろ、世間では同じくタブーとされてきたとんねるずとダウンタウンの歴史的な共演の方が話題になっていた。

フジテレビ ©文藝春秋

「なんか、遠回しに威嚇されてんのかな」

 2021年、そんな太田と松本が歴史的な共演を果たした。8月28日放送の『FNSラフ&ミュージック ~歌と笑いの祭典~』(フジテレビ)である。この番組では、松本人志、中居正広、ナインティナインがメインMCを務め、笑いと音楽を交えた企画を行っていた。

 その中で、爆笑問題は漫才を披露した後、松本らが待つスタジオに姿を現した。太田はソーシャルディスタンスを保ちながら勢いよく松本に駆け寄り、自由奔放なトークを展開した。松本は「できることなら絡みたくなかった」と苦い表情を浮かべていた。

 この共演を受け入れて、太田の攻勢に対してきちんと受け身をとってくれる松本は、事件の噂があったあの頃の松本ではない。すでにピリピリしたムードはなく、威勢のいい後輩芸人に戸惑っているような感じもあった。