10月31日に実施された総選挙では、TBSの選挙特番で爆笑問題の太田光がキャスターを務めた。その生放送中には、落選した自民党幹事長(当時)の甘利明に対する「ご愁傷様でした」、前幹事長の二階俊博に対する「いつまで政治家続けるつもりですか」といった発言が物議を醸した。
太田光の“言い分”
後日、本人もラジオ番組で認めたとおり、たしかにもう少し言葉を選ぶ必要があったかもしれない。ほかの与野党の党首への質問も、何を言いたいのかうまく伝わらず、もどかしさを覚えるところもあった。しかし同時に、そういうところもひっくるめて太田光だなと思ったりもした。
私がとくに印象に残ったのは、岸田文雄首相と、共産党の志位和夫委員長とのやりとりだ。岸田首相との対話では、岸田が経済成長の必要性を説いていることに対し、「いま岸田さんは成長を目的としてるけど、じつは成長って結果なんじゃないですかね」という質問をぶつけた。
太田の言い分では、かつての高度成長期にはみんなが人並みの生活をしたいと電化製品や車などたくさんのものを買い求め、それが結果的に成長につながったが、いまはスマホで安いものが何でも買える。これでどうやって成長するのか、というのだ。
岸田はこれを受けて、大事なのは成長と分配だとして「成長が分配を生んで、分配が成長を生む、という意味では成長はまさに結果だと思います」と認めたものの、話はどうも嚙み合わないまま時間切れとなった。
「共産党の存在意義ってないんじゃないですか」
志位委員長には、共産党が日米安保の見直しを一貫して主張していることに対し、「志位さんが沖縄の在日米軍はアメリカの押しつけだと言うのは、安倍さん(安倍晋三元首相)が憲法九条がアメリカに押しつけられたものだって言っているのと共通する考え方だと思う」と述べ、さらに「もう1回(戦後を)やり直すなら、東京裁判からもう1回やり直すっていうぐらいの覚悟を示さないと、共産党の存在意義ってないんじゃないですか」とまで踏み込んだ。