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「生きるか死ぬかなんだよ。勝てよ!」と、格闘家に叱責され…「全部中途半端だった」おさる(53)が元祖“筋肉芸人”になるまで

おさる氏インタビュー #2

2022/01/02

過酷なロケに指名される日々

――他にテレビの企画で衝撃的なものはありましたか。 

おさる その後いっぱいね、危ないことしましたよ。山の頂上に、切り立った岩があって、その周りに5センチずつぐらいの歩ける幅があるところに連れていかれて。直径5メートルぐらいのその岩の周りを歩くっていう。下が30メートルぐらいの崖なんですけど、そこを1周できたら修行はクリア、みたいな。 

――怖すぎる(笑)。 

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おさる オンエアの時に、うちのかみさんが観て泣いてましたもん。「これを黙ってやったの?」って。ロケの時にパラパラ雨が降ってきたんですよ、小雨。それを見て「やります」って言ってしまった。俺は芸人だなってその時思いましたけど。 

――小雨のうちにやらないとロケできない……。 

おさる そうです。改名した直後にやった「タイのお寺で飼っている虎のストレスが溜まってるから散歩する」っていう企画も怖かった。最初に「顔の前に立たないでください。食べられます」って注意喚起があって。 

――(笑)。 

おさる 絶対に前には立たない、立たないと自分に言い聞かせながら、後ろからいく。虎が振り返るたびにその後ろに回って、もうバターになるくらいお互いくるくる回りました。 

 

――それ絵本でしか見たことない……。 

おさる 改名した時の番組だから、プロデューサーさんも「運気上がってるから大丈夫。もうちょっと散歩してください」って言うんです。上がるのが改名して3か月後とかだったらどうするんだっていう。 

――運気上がったかどうかを命で試すの究極すぎますね。 

おさる その時も「どうしようかな」って迷ってたら、マネージャーがパッと来て「やるんですか、やらないんですか、決めてください。飛行機の時間あるから」って。「これ遅れたらみんなチケット取り直しですよ。払うんですか」って。あらためてスタッフの数かぞえたら10人ぐらいいるの、そんなのチケット買えないじゃないですか。

 マネージャーのそれで、もう半ギレでやりました。「虎がおしっこしたら終わり」って言うから「おしっこしてくれ、おしっこしてくれ」って祈りながら。 

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