ネットユーザーの抵抗
振り返るに、中国でパソコンでのインターネットが盛り上がった2009年のことですが、中国政府が各パソコンに「グリーンダム」フィルタリングソフトを入れようとしました。それに対してネットユーザーが猛反発したことで無期限延期となりましたが、その際ネットユーザーから「政府に迷惑かけないから勝手にネットを使わせてくれ」という内容の「2009匿名網民宣言」が出ました。中国政府にとってのNGワードを出さなければ、政府の掌の上でまあまあネットライフが楽しめたわけですよ。中央の政治は信用することにして、正しくネットを活用して、買い物をして、ゲームで遊んでたわけです。中国的民主主義です。
でも今年はそうではなくなった。政府を信じていれば生活がよくなるかというと、そうではなくなった。
オンラインゲームの規制を発表
今年はゲームを制限しました。中国政府は未成年(18歳未満)のオンラインゲームについて、金、土、日、祝日の20~21時だけ、つまり週に3時間だけ遊べるという新たな規制を突然発表しました。
もちろん中国では中央政府は絶対正しいので、テンセントをはじめとしたゲーム関連企業は「正しいので喜んで対応します」となるし、メディアも「こんな話が出て、これでダメな子どもに対策がとれる」と大絶賛です。民意でいえば、ゲームを卒業した世代が多いですから、そりゃ学生は勉強したほうがいいというのが多数派となるので、多数決でいえば本当にそれが望まれているのかもしれない。でも学生からすれば、遊びがなくなるのは、急になんなんだという話になる。
学生にヒアリングすると、成績のいい学生が集まる学校においても、だいたいクラスの皆がオンラインゲームが遊べなくなって不満を言うわけです。一方クラスの中でもマイナー志向な人はしれっとSwitchやPS4などのゲーム機を遊んでいるか、あるいはネットの壁越えツールVPNを使って、オフラインで遊べるゲームをダウンロードするという動きもあります。
でも急に規制された、しょうがない明日からまったく別のゲームをやろう、とは思わないじゃないですか。いつも遊んでいるゲームをやりたいわけで、結局もともと中国の未成年の中でもゲーム機が好きというマイナーグループの人々が生かされる結果に。