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「未成年のゲームは週3時間だけ」忘れたころにやってきた中国政府の“強権発動”

子どもや若者にとっては、大変な1年になった

2021/12/30
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上からのお咎めがあるまで、学校は宿題の量は減らさず

 学校では勉強だけでなく、体育や芸術の成績も重視するようになりました。学習塾や教育サービスはNGだけど、スポーツレッスンやプログラミングや芸術教室は大丈夫とのことで、そちらが盛り上がっているという話も聞きます。

 これまた中央政府の方針に、メディアは「ネットの反応は皆が賛成し喜んでいる」との記事を掲載しています。しかし子どものゲームを抑えたい親が、勉強も減らしたいと思うでしょうか。ゲームを抑えたい親は、勉強をしていい成績にしたいわけです。学校だっていい成績を出していい評価を得たいわけですよ。なので上からのお咎めがあるまでは、学校は宿題の量は減らさないところが多いようです。

「双減」によって、家庭学習用のタブレットがよく売れているという

便利なオンラインの勉強ツールも使用できず

 勉強でいえば今期の受験生は悲惨なんですよ。なにせ各教育企業が競争して磨きをかけた便利なオンラインの勉強ツールが使えなくなってしまうなど、勉強する手段が急に変わってしまった。あまつさえ、成績に反映されるから、いきなりジョギングしろ、斜め懸垂しろと言われるわけです。またテストでどれだけ点数を取るとどの学校に行けるかという目安が、去年と変わって見えなくなっているという話も聞きます。受験生も親御さんも気が気でならないわけです。

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©️iStock.com

 2021年は、中国の庶民的な子持ちの家庭という視点でみれば、子どもは楽しみにしていたコンテンツを楽しめる時間が急減し、慣れていた勉強手段は使えなくなり、突然毎日運動をさせられるようになりました。今の中国の親御さんや学生さんや元・教師の人々、ひいてはシェアされて激変した状況を知った親族や友人などは、忘れていた中国政府の無茶ぶりの恐ろしさを身に染みて感じそうです。

 翻って日本では中国の爆速変化のニュースに「羨ましい」という声をよく見ますが、爆速変化の裏にはとばっちりを受ける運の悪かった不幸な人々もいることを、常に頭の片隅に入れておきたいなと思いました。

「未成年のゲームは週3時間だけ」忘れたころにやってきた中国政府の“強権発動”

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