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「向精神薬をフリスクみたいに…。市販薬でも人生を狂わす」オーバードーズのために風俗で働いた“依存症子”の証言

依存症子に『文春オンラインTV』が直撃インタビュー! #2

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結婚後は万引き依存の“クレプトマニア”に

Y記者 同時期に万引きに依存するクレプトマニアを発症していると思うんですけど、それはどういうきっかけですか。

依存症子 決してお金がないわけではないんですけど、夜の仕事をやっているときと比べると、欲しいもの全部は買えないわけなんですよね。かつては買い物依存症でもあって、洋服屋さんで「これとこれとこれ」みたいに買って帰ってきて、紙袋も開けないで置いてある服とか山ほどあったんです。値札も取っていないような服。それが並んでいることが気持ちよかったんですよね。こんなに持ってる私、っていう。それが、結婚したらあれもこれもそれもってできなくなった。

 それで万引きに走っちゃったんですよね。

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 幼少期、父が母がいない時期に何でも買い与えてくれて、私はそれを愛だと思っていたんです。父はそういう思いではなくて、「かわいそうだな、うちの娘は」という思いだったんでしょうけど、それが私を駄目にする与え方だった。なので、結婚して好きなものが買えない、ブランド品が買えない、新作が買えないっていうのが、すごい嫌だったんです。

©️文藝春秋

Y記者 万引きするのはそういう高いブランド品じゃなくて、安い……。

依存症子 ファストファッション。

Y記者 それは、やっぱり本当に欲しいわけではない。

依存症子 本当に欲しいわけではないです。

盗むのは「普段だったら絶対買わないもの」

Y記者 欲しくもないのに盗って、それによってどういう気持ちになるんですか?

依存症子 クレプトマニアにもいろんな人がいるんですよね。多くの人は、クレプトマニアと摂食障害を併発している人が多くて、そういう人は過食嘔吐もしている。だから吐くものにお金をかけるのがもったいないから、食べるものを盗んだりということがあるんだそうです。

 でも、私の場合、過食はあっても吐くことはなかったんですよね。なので、私のクレプトマニアは買い物依存からのクレプトマニア。あくまでスリルを味わっていた感じです。盗って、「誰にもとがめられずに、これを盗ってやったぜ」っていう。そういう意味では、盗撮とかとも同じ感覚だと思います。「撮ってやったぜ、この子の下着を」みたいな感覚。それがどんどんエスカレートしていった。

31歳頃の湯浅さん

Y記者 万引きで入手した服は着ないんですか?

依存症子 着ないです。

Y記者 昔の買い物依存の時と一緒で、開けもしないで商品がたまっていく。

依存症子 不思議なんですけど、自分の好みじゃ全くないんですよ。これが一番ビックリしたのは、取調室で証拠として出されるんですよね。「はい、あなたこれ盗んだんですけど」って見た時に、全然私の好みじゃないんだけど、と思って。警察官に「これ、私が盗んだんですか?」って聞いちゃったぐらい。その警察官の方も私がすごいOD(オーバードーズ)してるのを分かっているので、「じゃあ、分からなかったんだね、きっとね。これ盗んでるんだよ」「好みじゃないの?」って。普段だったら絶対買わないというようなものを盗んでるんですよね。