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「向精神薬をフリスクみたいに…。市販薬でも人生を狂わす」オーバードーズのために風俗で働いた“依存症子”の証言

依存症子に『文春オンラインTV』が直撃インタビュー! #2

全身の入れ墨で制服に着替える仕事ができない

Y記者 出所後はどういう仕事を始めたんですか?

依存症子 私は全身に入れ墨が入っちゃっているので、制服に着替えるような場所とか、スカートを履くようなところでは働けないんですよね。求人広告を見ても、制服貸与と書いてあっても、「やっぱりこれ、家から着ていくわけにはいかないよな」とか。

現在も残っている入れ墨

 

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 だったら、自分で何か仕事を始めちゃえばいいやって。刑務所でさんざん自分を振り返った時に、高校生の時にお友達にネイルチップを作ってあげたことを思い出したんです。で、結構細かい作業が好きだなと思って、ネイルの資格を取ってみようかなと。そこからネイリストの資格を夫に取らせてくれないかとお願いして。そうすれば、家にお客様をお招きすれば、入れ墨が入っているなんて分からないですし。

Y記者 あとはカウンセラーの資格ですか。

依存症子 そうですね。ネイルの資格を取りながら、企業セミナーとかいろいろ通ったんです。私が通ったネイルスクールがちょっと変わったところで、いろいろな女性の活躍の場を作ろうみたいな試みをしているところだったんです。私の過去をそこでお話ししたら、「自分でやっちゃえばいいじゃない」と。

「今こうやってちゃんと生きてる」と伝えたい

 私、出所後に漠然と、進藤さんみたいな活動がしたいと思っていて。でも、私はキリスト教徒にはきっとなれない。でも、元女子受刑者が女子受刑者を救うということをはできないかと思ったんです。

 私の人生の大きな目標として、刑務所で受刑している方たちに、「私は全身に入れ墨が入っているし、どうしようもない人生を送ってきたんだけど、今こうやってちゃんと生きてる」ということを伝えたいんです。でも刑務所で講話するってすごいハードルが高い。これは私が一生かけてやっていくことですが、そこに向けて、まずは自分が人の話を聞けるようにならなくちゃいけない。受刑者のご家族の相談に乗って、受刑者が戻った後の環境をよくして、再犯をしないようにする活動のために、「碧の森」というウェブサイトを立ち上げました。

 本当は臨床心理士とかそういう資格があったほうがいいんですけど、私は高卒なので、今から大学に行っていたらとてもじゃないけど間に合わないので、まずは産業カウンセラーという資格を取って。今、少しずつ依存症者のご家族だとか、受刑者のご家族からの相談を受けながら、一緒に伴走していくというようなことを一応お仕事としています。

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