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「向精神薬をフリスクみたいに…。市販薬でも人生を狂わす」オーバードーズのために風俗で働いた“依存症子”の証言

依存症子に『文春オンラインTV』が直撃インタビュー! #2

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万引きで4回捕まり、ついに刑務所へ

――頻度としてはどれぐらいのペースで?

依存症子 毎日ですね。そのことばっかり考えていました。睡眠薬を飲んで寝るんですけど、「明日朝早く起きて、開店からどこ行こうかな」みたいな感じです。おそらくクレプトマニアの方は多くが、「どこどこ行こうかな」みたいな、買い物に行くような感覚で盗みに行ってしまうんです。

Y記者 1回にどれぐらい盗るんですか?

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依存症子 今で言うエコバッグみたいなでっかいバッグを持って、そこにパンパンに詰めていくので、お店の人はたぶん分かっているんですよ。でも決定的な場を押さえられてないから、毎回うまく逃げていた。それで同じ店で調子こいてまたやるから捕まったという感じですよね。

――盗っている時の罪悪感みたいなものは?

依存症子 全くなかったです。

――万引きは何回捕まったんですか?

依存症子 全部で4回ですね。で、執行猶予からの実刑。執行猶予を含めて、刑期が2年7カ月です。

――言い渡された時というのはどう感じましたか?

依存症子 「刑務所か」と思いましたね。「窃盗で刑務所行くんだ」って。

 執行猶予判決の時はすごく変な感覚だったんです。被告人席に立って、裁判官から「じゃあ執行猶予です」って言われた後、その場で「はい、解散」という感じなんです。「え、私、ここで帰っていいの?」みたいな。

 執行猶予の時にそういう感覚を一度味わっているから、実刑が下ったときは「あ、ここから出れないんだ」って。その日は留置場まで一回帰るんですけど、落ち込みましたね。

吉原のソープランドに勤めていた頃の湯浅さん

「病気なんだ。じゃあ治るかもしれない」

――旦那様から「別れよう」とかそういう話はなかったんですか?

依存症子 言ってたらしいんですけど、私は全くそれは記憶になくて。言ってたけど、私が嫌だって言ったみたいなんです。

――その時も薬の影響で。

依存症子 記憶がごちゃ混ぜ。やっぱり検察も警察も、短期間でこんなに同じ窃盗で来るこいつはおかしいなって思ったんでしょうね。精神鑑定にかけられたんです。簡易精神鑑定といってちょっと簡単なやつでした。茨城県のほうの病院に護送車で連れていかれて、生育歴みたいなものをお医者さんに聞かれました。

 

 まず「両親とおじいちゃん、おばあちゃん、そのもっと上でもいいんだけど、うつ病の人は居る?」と。で、「おばあちゃんがうつ病だったと思いますね」と答えて、そこから高校生の頃の援交から覚せい剤からやってきたことを全部話したら、「君のやめたくてもやめられないというのは典型的な依存症だ」と。

 初めてそこで依存症というワードを知って、自分の訳の分からない行動に病名がついて、すごく安心したんです。その時にポロポロ泣きながら、先生に「私、どうしたらいいんですか?」って聞いたぐらい。「これ、病気だったんだ」って。「私の意思が弱いからなるんじゃないんだ。私が頭がおかしいからじゃないんだ」っていう、ちょっと安心感。「病気なんだ。じゃあ治るかもしれない」と思って、先生の前で大泣きしたのを今でも覚えてます。