小学生の頃からモデルとして活躍した武田久美子さん。映画『ハイティーン・ブギ』では、当時トップアイドルだった近藤真彦さんのヒロイン役に大抜擢され、世間の注目を一気に集めました。たのきんトリオをはじめ、豪華な出演陣との共演。華々しいデビューを飾った一方、過熱するファンが学校生活に影響を及ぼしたことも。一夜にして世界が変わったと語る武田さんが、見た景色とは。(全3回の1回目。#2#3を読む)

武田久美子さん

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ランドセルと引き換えに電車代をもらって

――芸能界のお仕事をはじめたきっかけについて、教えてください。

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武田久美子さん(以下、武田) 私は4歳年下の弟がいまして、彼が生後3カ月のときに保健所に予防接種を受けに行ったんです。そこで、とっても可愛かったんでしょうね。赤ちゃんモデルにスカウトされまして。それからは、弟のCM撮影があれば私も一緒について行き、芸能界の仕事に興味を持つようになりました。

 ただ、弟が2歳か3歳になる頃には、弟は元々そういった仕事が好きじゃなかったようで、帽子を被せれば脱いでしまう。そこに座っていろと言われても歩いてしまう。しかし母親としては、赤ちゃんモデルとしてお金を貰っている以上、怒らないといけない。それが嫌で辞めちゃったんです。

 それと引き換えに、私は8歳の頃、子どもが入るモデル事務所に入ることになりました。

学校の後撮影、終電で帰って宿題をしてまた学校…と働く小学生だった武田久美子さん

――当時から、学校が終わって撮影現場には一人で行っていたとか。

武田 母は、弟の撮影では手を焼いたから、もう現場には行きたくなかったんですよ。それに、弟を一人で家に残しておけないと。なので「モデルをやるなら一人で行きなさい」と言われて「はい」と答えました。

 撮影がある日は、学校が終わる頃に母親が門のところで待ってるんです。そこで、母にランドセルと名札を預け、私は電車代1,000円をもらって仕事に行ってました。撮影を終えると終電ギリギリで帰ってきて、それから宿題をして、翌日には学校に行って。そんな日々の繰り返しでしたが、好きでやってたんですよね。働く小学生でした。