しかし! 観続けてよかった! 今は安心して観ています。最初のヒロイン・安子(上白石萌音)編の、トラウマになるほど心をえぐるラストを観て、このドラマは家族を美談で語らないのだなと確信しました。つらすぎる内容に放心状態になりましたが、これはきっと伏線。単純で平和な直接的に親子関係でつながっている家族の物語に仕上げないこの脚本は信頼できるという希望に変わりました。
壮絶展開で描く安子とるいの母娘関係
愛情深く娘のるい(のちの深津絵里)を育てた安子。何よりもるいが一番大事だったにも関わらず、運命の歯車は残酷です。安子が米軍将校のロバート(村雨辰剛)に抱きしめられる光景を目撃してしまったるいは、かつて安子が交通事故でるいの額に負わせた深い傷跡を見せながら「I hate you(大嫌い)」と、安子を拒絶。放心状態となった安子はロバートに「私をアメリカに連れてって」と告げるという衝撃展開でした。
るい役が深津絵里という時点で、上白石萌音と親子として共演するシーンはないと想像していたので、安子が何かしらの形でフェードアウトするとは予想していたのですが、思った以上につらい展開でした。仲違いしたまま、親子は離れ離れになったのです。
いやいや安子、なんとしてもるいのそばを離れるなよ〜! とも思うのですが、安子編のラストで急にヒロインに共感できなくなる展開も、次のヒロインに視聴者の感情をスライドさせる絶大な効果があったなと思います。あまりの展開に鬼脚本と言われたりしていますが、3人のヒロインでリレーする本作において、この見せ方は藤本有紀脚本さすが!としか言いようがありません。
現代、るい編が放送されていますが、るいはまだ安子のことを許していませんし、当時の記憶がつらい思い出として度々フラッシュバックしてしまいます。安子とるい、この二人の関係がこの先の未来で雪解けしていくといいのですが……。冒頭に書いたとおり、すべての家族が仲がよく愛情にあふれた関係ではありません。そのあたりを理解した上で脚本が書かれていると思うと、今後の展開も恐ろしい! これからるいと3人目のヒロインでありるいの娘のひなた(川栄李奈)がどういう母娘関係を築くのかにも注目です。