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「変な気を起こすなよ」弟・たけしに釘を刺されたこと

ーーたけしさんも一目を置かれていたのでは。

北野 いや、(淑徳短期大学の)教授になったあたりで、弟からは釘を刺されました。「あんちゃん、レギュラーを1本か2本もらったからって、変な気を起こすなよ」と。「あんちゃんは、学校の先生をやっているから注目されて、テレビに出られるんだぞ。あんちゃんが、プロの芸人だったら絶対に喰えてねぇからな」って言われましたから(笑)。

『クイズダービー』に出ていた時は、プロデューサーに「先生、ちょこっと収入が増えたと思いますけど、これはたまたまですから。ずっと続くもんじゃないんですよ」「テレビに出てからの収入を基本に考えてはダメですよ」って。それは事あるごとに、嫌というほど言われましたね(笑)。

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 おかげさまで、ほとんどタクシーにも乗りませんし、常に使うのは、公共交通機関。うちの学校にも電車で通っています。これはケチじゃないんですよ。カッコよく言えば、環境問題も考えているから(笑)。

ーー「10年ほど、たけしさんが羨ましかったことがある」とお話しされていますが、これは大さんがテレビに出るようになってからの10年ですか。

北野 出る前ですね。弟がテレビに出てるといっても、ただ適当に世間話をしているようにしか思えなかったですから。それで、自分の何倍、何十倍もの収入を稼げて羨ましいなとは思いました。でも、テレビに出るようになって私もその大変さがよくわかりました。

 だけど、いまは心の底からいい弟を持って良かったなって思います。よく兄弟で会うと言ったもんですよ、弟が世に出たことで一番得したのは、真ん中の兄貴、私だって(笑)。

撮影=石川啓次/文藝春秋