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学校は、いじめとして認知し、方針を保護者と共有した対応が必要

 話を今回の文書に戻そう。市教委からの報告を精査し、事態を重く見た道教委は2021年10月3日付で市教委に以下のような指導を行った。

10月3日付の指導事項書類

【旭川市立××中学校で発生した事故に係る旭川市教育委員会への指導事項】(一部抜粋)

 

 《1 いじめの認知、早期対応

 

 【本事案における課題】

 

 ・自殺未遂事案であるが、当該生徒への聞き取りを行わなかったこと。

 

 ・いじめの疑いがある事案としての対応ではなく、猥褻事案として指導していること。

 

 ・当該生徒の保護者に対し、学校の対応方針や指導方針を伝えていないこと。

 

 【対応の方向性】

 

 〇学校は、いじめとして認知し、方針を保護者と共有した対応が必要

 

 →当該生徒がいじめではないと話していても、客観的に見ていじめが疑われる状況である。特に、当該生徒が川に入った際、「死にたい」と繰り返し訴えていることから、「心身の苦痛を感じている」ことが考えられる》

「学校は、いじめとして認知し、方針を保護者と共有した対応が必要」としたが、しかし、市教委はこの指導を受け入れることはなかった。10月10日付「通話処理票」には市教委の教育指導課職員が道教委の職員からの「照会」に対して、次のように回答したと記されていた。

道教委からの「照会」に対する市教委・教育指導課職員の回答

10月10日付「通話処理票」

《(4)旭川市教育委員会の「いじめかどうか」についての認識について

 

 次のような理由から旭川市教委では、いじめとの判断には至っていない。

 

(1)7月11日(木)に被害生徒が××××と発言していること

 

(2)学校における教育相談やいじめアンケートにおいて被害生徒のいじめ被害の訴えがないこと、また他のいじめに関する情報がないこと》

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 黒塗り部分が不明のため判然としない部分もあるが、市教委は学校が行った「いじめアンケート」並びに「被害生徒のいじめ被害の訴えがないこと」などを理由に「いじめとの判断には至らなかった」という。