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「自殺未遂」から「パニックを起こした」へ変更された報告書

 問題の公文書の最初は、地元誌「メディアあさひかわ」で爽彩さんの自殺未遂が報じられた後、市教委から道教委に令和元年9月10日付で送られた「事故速報」である。同文書では同年4月・6月頃に爽彩さんが「猥褻事案・自殺未遂事案」の被害にあったと報告している。以下は、その文書の一部抜粋だ(※個人情報保護の観点から行政によって黒塗りとなった箇所は、××と記す)。

令和元年9月10日付で送られた「事故速報第1報」
「事故速報」

《・当該生徒は、本年6月頃、××××に××××で自慰行為をさせられた。

 

 ・当該生徒は、本年6月頃、××××で××××と話をしている最中に川に飛び込み、自殺未遂をした。

 

 ・当該生徒は、自殺未遂後入院し、退院後、保護者の要望により×××中学校へ転校した》

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 黒塗り部分は推測になるが、速報の文書では、爽彩さんが地元の公園で自慰行為をさせられたこと、またウッペツ川に飛び込み、自殺未遂をするまで追い詰められていたことが明記されている。ところが、この8日後に作成された9月18日付の報告書では、爽彩さんがウッペツ川に飛び込み自殺未遂を起こした件について詳述されたが、全体のニュアンスが変更された。つまり、同事案は「自殺未遂案件」というよりは爽彩さんが「パニックを起こして引き起こされた事件である」という点が強調される内容に「変更」されたのである。以下は9月18日付文書の一部抜粋である。

9月18日付の報告書

 【(当時)××中学校(現在 ×××中学校)第1学年女子生徒の対応について】(一部抜粋)

 

《川への駆け下り

 

 ・6月22日(土)、当該生徒は、××××公園において、××××にからかわれパニックとなり、堤防の柵を越え、ウッペツ川の川岸に下り、川に入った(川幅1m程度、水深は膝下程度)。当該生徒は、川に入ったままスマートフォンで××中学校に電話し、対応した教員に「死にたい」と繰り返し話した。

 

 ・当該生徒は、現場に駆け付けた××中学校の教員により、川から引き上げられ、保護された。

 

 ・学校から連絡を受け、その場に駆けつけた母親はその様子を見守っていた。

 

 ・現場付近の住人が警察に通報し、××交番から警察官が駆け付けた。

 

 ・当該生徒が、自宅に帰りたくないと話したため、××中学校の教頭が母親に病院の受診を勧め、母親は同意した。当該生徒は、母親の車に乗りたくないと話したため、警察官がパトカーで××病院へ連れて行き、当該生徒はそのまま入院した》