かれこれ2年以上にもなる、新型コロナと自粛の時代。ライブ観覧やスポーツ観戦、居酒屋の飲み歩きを趣味とする人にはツラいが、同時にインドア系の趣味は盛り上がりを見せており、親子でプラモデルを作って楽しむ家庭も増えたと聞く。
そんなプラモ業界における最近の隠れたヒット商品が、秋東精工の展開する「寿司プラモ」シリーズである。米粒をひとつひとつ接着するという気の遠くなるような工程を含むことで話題になったこの商品、自粛にしたがって生じる“おうち時間”をつぶすのにはもってこいのようだ。
とはいえ、通販サイトに掲載されている完成図の画像は“ただの寿司”である。そもそもプラモデルは、戦車や戦闘機・鉄道車両、さらにはロボットなど、一般人には手の届かない大型メカを自分のものにできるのが喜びだったはず。それなのになぜ、脱力感さえ感じさせる「寿司プラモ」が現代人の心を捉えたのだろうか。
この“ナゾのプラモ”について考えるべく、今回は「寿司プラモ いくら」(2021年8月発売)の組み立てに挑戦してみた。
寿司プラモを作ってみると…
実は筆者は少年時代、貴重な小遣いをはたいて「陸上自衛隊 90式戦車」のプラモを買うも、部品が多すぎて挫折した経験がある。今回も「シャリが364粒」と聞いて身構えつつ、折り詰めに仕舞われた寿司プラモに挑んだ。
自由と言うべきか、はたまた不親切と言うべきか、説明書を読んでも手順は書いていない。パーツ切断後は目印なしで組み立てることになるが、最初に米粒の塊を作り、ある程度のところまで行ったら海苔を土手にして、米粒を充填していく攻略法が初心者向けだ。この場合、接着剤が机に染みないよう注意が必要となる。