『あんたみたいな父親、いない方がまし』
それに週に2~3回もの当直業務や日常の激務をこなして、ようやく得た給料のことまで、バカにされるとは思いもよりませんでした。それでも、私は、子どもを一人親にしてしまうのはよくないと思い、離婚だけは持ち出さないでほしいと、必死に説得しました。しかし妻は、離婚を思いとどまるどころか、『あんたみたいな父親、いない方がまし』『あんたは存在しないものとして考えている』と、私の存在自体を全否定しました。両方の親を呼んで説得にあたりもしましたが、妻の私に対する暴言や暴力、長男に対する心理的虐待やほとんど暴力のような虐待がエスカレートするばかりになりました。まさに、錯乱状態でした」(Aさん、以下同)
AさんはB子さんからの暴言によって相当なショックを受けたが、子どものために離婚を回避するよう、Aさんや双方の家族で、話し合いや説得を何度も試みた。だが、B子さんは感情を抑えることができなくなり、言動や態度はますます悪化・激化していった。「あんたみたいな父親、いない方がまし」とAさんの存在価値自体を全否定するような暴言も吐いたという。気に入らないことがあれば、長男がそばにいるにも拘わらず、机を蹴り飛ばしたり、物を投げたり、長男を抱いたAさんを何度も殴ったり、長男もろとも押し倒してきたそうだ。「あんたなんかいないも同然よ」とも言われたという。
「子どもの心は壊れてしまう」
「妻は、ある日、長男のおむつを代えながら、長男に向かって、『あんたのペニスも小さい。ペニスの小さなパパにそっくりだ。小さい』と侮辱する暴言を、大声で吐いていました」
B子さんが怒鳴ったり暴言を吐いたり暴力を振るうと、CちゃんはB子さんの顔をみて泣き叫び顔を引きつらせていたという。またAさんが仕事から帰宅すると、CちゃんはAさんのそばを片時も離れなかった。それでもAさんは、Cちゃんを一人親にしたくないという一心で、離婚の回避のために、時には土下座して、B子さんと話し合いをしようとギリギリまで努めてきたが、B子さんは応じようとはしなかった。Aさんは日に日に、精神的に追い込まれていったという。
「長男にとって、私は血のつながった父親です。けれども妻は、私の存在自体を否定しました。妻の暴走の理由がつかめぬ日々は、いつしか恐怖へと変わっていきました。それ以上に、私は長男を錯乱状態の妻から守らなければならないと強く思うようになりました。すでに長男の笑顔は消えていましたし、いつも妻のことをじっとみつめては怖がっていました。このまま子どもが妻の近くにいたら、いつか長男の心は壊れてしまうと思いました」