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妻の実家では水生の爬虫類が放し飼いに

 Cちゃんの誕生日から1か月ほどが経ったある夜、B子さんの実家の衛生管理について話しあっていると、B子さんと義父が「無理だ。離婚だ」と一方的に決めつけてきたという。

「妻の実家では水生の爬虫類が放し飼いになっていました。ある時長男が妻とともに妻の実家に数日間滞在すると、長男の身体中に皮疹ができていました。ダニにも食われていました。そのことについて、妻に改善を求めたのですが、妻は取り合わないどころか、義父が電話越しに私を罵倒しました。爬虫類の放し飼いなんて聞いたことがありません」

 さらにB子さんは、掴まり立ちして不安定な状態のCちゃんを乱暴に扱い、それを注意するAさんを怒鳴りつけたという。Cちゃんが怯える表情をしているのを目の当たりにしたAさんは、B子さんが目の届かないところでより酷い虐待を繰り返しているのではないか、B子さんが不衛生な環境のB子さんの実家にCちゃんを連れていき、Cちゃんが病気になるのではないか、とCちゃんの将来を心底悲観し絶望したという。Aさん自身も、B子さんからの度重なるDVもあり自殺を考えるほど精神的に追い詰められていたそうだ。

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「警察にいくことを決意しました」

「自殺でもしようか、それとも無理心中でもしようか。そんなことが思い浮かばれるほど、とにかく私は極度なまでに追い詰められていました。けれども、長男の将来を考えて命を絶つことだけは決してしませんでした。ならば……警察に助けを求めよう、児童相談所で長男を保護してもらおう、と考えました。

 私も一応医者の端くれですから、当初恥ずかしいという気持ちもなかったわけではありませんでした。しかし子どもの身の安全のためには私の恥などどうでもいいと思いました。とにかくこの子に笑顔が戻ってきてほしいと強く思いました。葛藤の末、恥も外聞も捨てて、警察にいくことを決意しました」

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 そこで、AさんはCちゃんをB子さんから避難・隔離させることを決意し、深夜、寝ていたCちゃんを抱きかかえ、埼玉県下の最寄りの警察署に着の身着のまま逃げ込んだ。経過を話し、警察署を通じて児童相談所に連絡を取り、Cちゃんの保護を求めた。しかし、新型コロナウイルスの影響等もあり、児童相談所では直ちに保護できないと断られてしまったそうだ。

 その数時間前にAさんからのSOSの電話で異変を感じたAさんの母親が、Aさん親子に何かあってはまずいと、Aさんの知らぬうちに愛知県から埼玉県に駆け付けていた。Aさんに電話をかけ、Aさんが警察署に避難したことを知り、Aさんの母親が警察署にたどり着いた。

 警察と相談を続けると、「奥さんとお子さんは隔離しなければならない」「良いとも悪いとも言えないが、虐待を疑われていない方の実家に行くことも手としてはある」と言われた。違法な連れ去りには当たらないと言われたため、Aさんはしばらくの間のCちゃんの監護を母親に託し、Cちゃんを愛知県に避難させた。B子さんは警察から警告され、実家に帰ったそうだ。