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裁判の中でセカンドレイプ、セカンドハラスメントを受けた

 Aさんは、当時裁判を担当していた調査官や書記官、裁判官の態度や様子にも違和感を覚えたという。

「担当していた調査官2名の内男性の調査官は、面談や家庭訪問の最中、あからさまに退屈そうな態度をとったり、おおげさに時計を何度も確認するそぶりを見せつけてきたりしていました。また、裁判官や書記官は、しわくちゃでヨレヨレのだらしない服装で品性の欠片も感じさせないような態度でした。時間にルーズだったり、提出した書類を忘れてきたりと、普通の社会人では考えられないような実態でした。調査官や書記官は裁判や調査の最中、私の性器についての妻の暴言や、妻の虐待内容を話しているとニタニタ笑うこともありました。私は裁判の中でセカンドレイプ、セカンドハラスメントを受けました。さらに傷付けられたように感じました」

ただただ子どもに会いたい一心だった

 その後、Aさんは審判に従い、世間が年末で楽しい雰囲気になっている中、泣き叫ぶCちゃんをB子さんのもとへ引き渡したという。

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「子どもを引き渡してから、家に帰ると、家のいたるところに長男の面影や痕跡であふれかえっていました。涙が止まりませんでした。『Cちゃんに会いたい』そう言って何度も泣き叫びました。長男の安全のために虐待から避難させただけなのに。妻からのDVの心の傷を我慢してきたのに。今でも長男のことを案じては泣き悲しんでいます。

 また、テンプレートの調査・審判にもかかわらず、審判までに半年以上もかかってしまいました。監護者指定で大事な項目のひとつである”監護の継続性”は無視され、長男は半年以上愛知県で継続してきた安定的な生活を奪われて、虐待を繰り返してきた妻の下へ戻される羽目になってしまいました。長男の表情は再び暗く固いものになってしまいました。どうせ結論ありきのテンプレートなら、せめてもっと早くやるべきだと思います。児童相談所や警察署は適切に行動してくれましたが、名古屋家裁の判断は、世間の感覚とは明らかに異なると感じました」

©istock

 ただ、Aさんは即時抗告をしなかったという。家庭裁判所での審判に不服がある場合、本来であれば即時抗告ができるが、現実的な問題があったというのだ。

「監護者指定、子の引き渡しに加え、保全処分まで認められると、その後即時抗告をしても、覆る可能性はほとんどないと、弁護士に言われました。むしろ、即時抗告をすると、監護者に指定された方が、頑なになってしまい最悪の場合子どもとの面会ができなくなるかもしれないとさえ言われました。面会交流とは、親の権利である以上に、子どもにとって大切なものです。本来ならば滞りなく子どもと親が面会交流するのが当然なのです。しかし、現実はそうではないそうです。特に幼い子どもの場合、監護している親が、ひとたび面会交流を拒絶したら、なんとそれがまかり通ってしまうそうです。面会交流の調停を何度申したてても、世の中には一切会わせようとしない親がたくさんいるそうです。しかもそんな親に対して強制したり罰したりするシステムもなく、子どもに会えない親は泣き寝入りしているというのです。私はただただ長男に会いたい一心だったので、即時抗告はやめました」