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――デビューにあたって、お父様に厳しく鍛えられた覚えは。

佳之介 ステージの記憶は断片的に覚えているんですけど、そつなくできちゃったみたいで(笑)。

暁之進 なんか、できちゃいましたね。

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佳之介 完成されたマジックの形、やり方を間近で見ていたので。植え付けられていたというか、それを真似すればできてしまったんです。

忙しかった小学生時代。テレビ収録ではCMの間に…

――幼いなりに、ステージに立つことで得られる高揚感みたいなものはありましたか? 

暁之進 楽しかったなという記憶はありますね。

©文藝春秋

佳之介 ステージで拍手をもらったり、お客さんが驚いてくれたりするのは、やっぱり嬉しかったですよ。それと、仕事で地方のテレビ局に行くと、いろいろなグッズをもらえたりして。そういうのは、子供なりにうれしかったですね。

――そうなると、マジックの練習も俄然、頑張れそうですよね。

暁之進 いや、練習という練習はしてなかったですね。

佳之介 当時は、練習する時間がなかったんです。学業をおろそかにはできないので毎日ちゃんと学校に通っていたし、学校が終わったらショーに出ていたので。テレビ番組に出て、CMの間に新しいマジックを覚えて、CM明けにすぐさま披露するなんてこともありましたね。

――そういう状況でも、できてしまうものをやっていたわけではないですよね。失礼な言い方ですが、どうしても簡単なマジックを披露してしまうといいますか……。

佳之介 いま観てもらっても「新しい」と思われるくらい最先端のものをやっていたという自負はありますよ。

©文藝春秋

暁之進 当時、そんなネタは僕ら以外はやってなかったと言い切れますね。

佳之介 マジックって、1回見たら「もういいよ」って言われちゃうんですよ。

暁之進 音楽と違ってね。

佳之介 音楽は何度も聴きたいと思うじゃないですか。マジックは一回やったら、「次は違うのやって」になるんですよ。だから、どんどん新しいのを披露しないといけない。

 さらに“子供がやる”という面も考えたマジックも作らないとダメだったんですよ。たとえば、レモンの中からカードが出てくるマジックがあるんですけど、カードを取り出すときにナイフでレモンを切るので子供だと危ない。じゃあ、どうするかと考えて、父が「ピーマンでやったらどうだ」と。で、ピーマンを手でちぎったら、中からカードが出るなんてマジックをやりましたね。