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「もう日本企業の視察は受けたくない」中国企業が日本人の“深圳視察”を嫌悪した決定的理由

『架僑 中国を第二の故郷にした日本人』より #2

2022/03/02

genre : ニュース, 社会

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 これは日本も同じだと思うが、バブル期に海外でブランド品を買い漁る日本人が急増し、その後に中古のブランド品店も急増したのと同じ流れだ。中国メディアの発表によると、2020年の中古品市場は1兆元(約16兆円)と大きく拡大し、現在も急速に伸びているというから、今後多くの企業がこの中古品市場に参入してくると思われる。

人生をかけて深圳で勝負をしようと決めた

 2年前、中古品市場の勃興に目をつけた吉川さんは、既に成熟している日本の中古品店の店舗運営ノウハウや鑑定技術を中国に持ち込めば勝負ができると考えた。同じ考えを持つ3人の中国人とともに、2020年にmonobank Chinaを立ち上げ、まずは日本の専門鑑定士を中国に呼び、プロの鑑定士を育成する。これも日本と同じ現象だが、ヴィトンやエルメスなどのブランド品が中国で流行するにつれ、多くの偽物が現れたのだ。だから、良質な中古品店を運営するには、優秀な鑑定士が必須となる。

「鑑定技術は日本の方が一歩先にいっている」という吉川さんは、中国の同業他社にも十分太刀打ちできると考えた。

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 中国政府は環境保護の観点から「リサイクル」理念の普及を重視しており、モノを消費する社会からモノを循環させる社会へと転換を図っているため、今後間違いなく中古品ビジネスは拡大していくと思われる。中国社会の発展と行く末を先読みした目の付け所は素晴らしい。

 翌日、吉川さんの仕事が休みだと言うので、彼の原点となる場所に連れて行ってもらった。やって来たのは、深圳万象天地。若者が集まるオシャレスポットで、海外の有名カフェや有名レストランが揃う。

「私は4年前、ここに来た時に衝撃を受け、人生をかけて深圳で勝負をしようと決めたのです」

©iStock.com

中国の家電メーカーの進歩

 それは、中国の若者に大人気の総合家電メーカー「シャオミ」の体験店だった。日本でもシャオミのスマホの販売が始まったため、知っている人もいるかと思う。シャオミはスマホだけでなく、テレビ、掃除機、洗濯機、電動自転車に至るまで、家庭の中のあらゆる製品を作り、そのオシャレなデザインと圧倒的に安い価格で多くの若者を引きつけている。

 例えば、4Kテレビは3万円、スマートウォッチは約2800円と、日本に比べて圧倒的に安く、デザインは白を基調とした簡素でスタイリッシュなものばかり。さらに、製品の全てがIoT(モノのインターネット)で繋がり、スマホまたはスマートスピーカーでコントロールすることができる。

 私の知人のシャオミ好きは、テレビ、エアコン、冷蔵庫、ドア、掃除機、カーテン、照明、炊飯器、ステレオの全てをシャオミ製品で揃えている。スマホ1台で全家電をリモートコントロールできるため、例えば家に帰る途中でスマホのアプリでエアコンをつけ、炊飯器をオンにして、自動掃除機もオンにすれば、家に着くと部屋は快適な気温になっており、ご飯もちょうど炊き上がり、部屋も綺麗になっているという具合だ。