帰宅後、ネットで自殺の方法を検索し…
12時前、家にいた祖母が車で迎えに来た。知華はそれに乗って帰宅。祖母が涙目になっているのに気がついて事情を尋ねたが、知華は頭が痛いとしか答えなかったので自宅にもどった。
それからおおよそ1時間、知華が何を考えていたのかはわからない。だが、スマホで自殺の方法を検索していたことが後で判明する。そこには首吊りの仕方として次のように記されていた。
〈この方法が一番お手軽で、どこのご家庭でもできますので人気があります〉(※現在、サイトは削除)
教室で浴びせられた言葉もそうだが、彼女が最後に閲覧した言葉さえ、人間の心の痛みや命の重みを何一つ考えずに書かれた、あまりに軽いものだった。
そして彼女は冒頭の遺書を書いた後、台所の取っ手に縄跳びの紐をくくりつけて縊死したのである。
第一発見者は隣に暮らす祖母だった。様子を見に来たところ、知華が首を吊っているのを発見。すぐにハサミでヒモを切り、119番通報したが、意識はもどらぬまま、翌18日の午前3時45分に死亡が確認された。
謝罪さえ来ない加害者生徒
事件後結成された熊本県いじめ防止対策審議会は関係者に聞き取り調査を行い、民事裁判や刑事裁判における因果関係の判断とは異なると留保しつつ、次の5件についていじめだったと認定した。
(1)A子がK也にインスタを見せて「これどう思う」と言ったこと。
(2)K也が「2年生男子を集めてもいいよね」と言ったこと。
(3)2時間目の授業でクラスメイトが数々の暴言を吐いたこと。
(4)K也が2年生にインスタに映り込んだのが偶然かどうか確認したこと。
(5)2年生に対して女子生徒らが再確認したこと。
だが、遺族によれば、事件後の生徒や教員の反応を見る限り、知華を死に追いやったことをどこまで深刻に受け止めているか甚だ心許ないという。
父親の智彦は語る。
「今、民事裁判でA子やK也を訴えてますが、罪を全面的に認めて謝罪するということにはなってません。彼らにしてみれば、自分たちの言動は、知華を自殺に追いやるほどのものではなかったという認識なんではないでしょうか。日常的に教室でつかっていた荒れた言葉でからかっただけで、なんで自分がそこまで大きな罪を背負わなければならないのかという感覚なんだと思います。彼らは謝罪にさえ来ませんから」