今クールのドラマで意外な「掘り出し物」と評判だった、吉田鋼太郎主演の『おいハンサム!!』(東海テレビ×日本映画放送共同製作連続ドラマ)。
これは、伊藤理佐の数ある人気コミックをモチーフとし、令和に蘇った昭和の頑固親父・伊藤源太郎(吉田)と、“ダメンズ”三姉妹の由香(木南晴夏)、里香(佐久間由衣)、美香(武田玲奈)、家族を包み込む母(MEGUMI)の伊藤家が織りなす「恋」と「ゴハン」、そして「家族」の物語だ。その中で異彩を放ったのが、武田玲奈演じる美香の合コン相手・学を演じる高杉真宙(25)である。
自分の価値観を女性に押し付ける“モラハラ男”だが、美しい笑顔で爽やかに、当たり前のように自然体でするモラハラの怖さや闇深さには、ゾクゾクする。
実はこうした「闇美しさ」は、令和のドラマの一つのキーワードになっている。
高杉真宙が演じた“モラハラ男”
学のモラハラ具合を少し紹介しよう。学は美香に「私のどこが好き?」と聞かれると、「うーん……すっごく普通なとこ」。さらに「美香さんって変わったフリしてるけど、普通の子だよ」と言い、戸惑う美香に対し、笑顔で説明する。
「だってほら、頑張って変わった服着たりしてたでしょ。専門的な仕事がデキるとか、特殊な才能があるとかじゃないでしょ。特別じゃないよね」
「でも美香ちゃんはもう大丈夫。だって、自分より上の僕をつかまえたんだから」
そして、店を出てからは「前から言おうと思ってたんだけど……僕ねえ、女の子は右側が好き」「美香さんは黒とか茶色とかシックな色の方が似合うと思うよ」「女の子は半歩後ろの方が好きかな」と立て続けに細かな注文をつける。
また、デートでは美香のファッションを品定めし、映画館でチケット代を払おうとすると「美香ちゃんは男に恥かかす気?」と言い、美香が気遣ってコーヒーを買ってくると「ホットかぁ……」とあからさまにガッカリしてみせる。さらに、鑑賞後に映画の感想を語る美香に対して「美香ちゃんすごいなぁ……勉強してきたんだね。それ、誰の意見? テレビ? あ、雑誌で読んだの?」。
文字にするだけでいちいちカチンと来て、ムカムカする言葉だが、タチが悪いのは、これを言うのが、いかにも神経質そうで威圧的な男性ではないこと。語気を強めるでも、睨みつけるでもなく、爽やかな笑顔と普通のトーンで自然に言うのだ。