沢田研二、三上博史、堂本光一、錦戸亮、綾野剛の“闇美しさ”
例えば、古くは映画『太陽を盗んだ男』(1979年)や久世光彦演出の連続ドラマ『悪魔のようなあいつ』(1975年/TBS系)などの沢田研二。今観てもゾクゾクするほどに闇深くて美しくて、たまらない色気がある。
また、トンデモ展開のジェットコースタードラマ『あなただけ見えない』(1992年/フジテレビ系)で女性を含めた多重人格を演じた三上博史や、野島伸司脚本ドラマ『人間・失格~たとえばぼくが死んだら』(1994年/TBS系)で優等生ながら「ウサギ殺し」の主犯役で、いじめグループの影のリーダーでもある留加を演じた堂本光一なども非常に印象深い「闇美しい」存在だろう。
さらに『ラスト・フレンズ』(2008年/フジテレビ系)で長澤まさみ演じる美知留に暴力を振るっていたDV彼氏の錦戸亮や、坂元裕二脚本ドラマ『Mother』(2010年/日本テレビ系)で芦田愛菜を虐待していたネグレクト母・仁美(尾野真千子)の愛人役の綾野剛など、「暴力性」という闇で役者としての評価を高めたケースもある。
“闇美しい”若手俳優の「現場での評判」
こうした過去のケースに比べ、高杉真宙、板垣李光人、高橋文哉など、令和の闇美しい若手俳優たちは、より中性的で洗練された美しさが特徴となっている気がする。
高杉には、女の子と間違えられてスカウトされたエピソードがあるし、板垣はプライベートでもメイクを楽しむジェンダーレス男子として知られている。高橋は《メイクしたら女の子になったっていう映画のような話の夢をみて女の子になりたくて、なりたくてメイクをする。》とTwitter(2019年5月8日)につぶやいたことがあるように、それぞれが本当に美しく愛らしい。
そして、高杉が『仮面ライダー鎧武』で闇落ちしたように、高橋も主演作『仮面ライダーゼロワン』(2019年/テレビ朝日系)で闇落ちしているし、板垣は『仮面ライダージオウ』(2018年/テレビ朝日系)で、「タイムジャッカー」の一人として、騒動を起すことを楽しむ無邪気さと口の悪さ、狡猾さを持つ少年・ウールを演じていた。
こうして見ると、現代では、特撮による「闇落ち」「闇キャラ」経験が、熱い特撮ファンの男性層に信頼・支持され、かつ多くの女性たちを萌えさせる両メリットから、若手俳優の重要なキャリアとなってきているよう。
ちなみに、彼らに共通しているのは、日頃の素顔が取材記者などに「礼儀正しい」「腰が低い」「真面目」などと好印象を持たれていること。今は、演技力の確かさに加え、「闇美しさ」と「真面目で礼儀正しい人柄」が若手俳優のブレイクの必須条件なのかもしれない。