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「女性の割合を決めると、優秀な男性を排除する逆差別になる」という意見は正しい? 日本社会が「女性管理職30%」を実現できない本当のワケ

2022/03/08

 3月8日は「国際女性デー」だ。国連は今年の国際女性デーのテーマを「持続可能な明日に向けて、ジェンダー平等をいま」としている。しかし、日本社会の置かれた状況を見ると、「ジェンダー平等」「男女共同参画」は、遅々として進んでいないという現実がある。

「平成の停滞した日本経済を指す『失われた30年』という言葉がありますが、この期間は女性の社会進出という面でも『失われた30年』です」

 そう語るのは、国際人権法やジェンダー論を専門とする法学者の谷口真由美氏だ。谷口氏は、昨年まで日本ラグビー協会の理事を務めた経験から、日本社会の「男性中心主義」「序列主義」の問題点を問う新刊『おっさんの掟』を上梓したばかり。谷口氏は、日本社会で女性登用が進まない本質的な理由を同書でこう語っている。

谷口真由美氏

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社会のあり方は「おっさん中心主義」のまま

 日本は1985年に世界の女性の憲法と言われる女性差別撤廃条約を批准、同年「男女雇用機会均等法」も成立しました。それから平成30年間を経て、働く女性こそ増えたものの、「おっさん中心主義」の社会のあり方は根本的には変わっていません。

 セクハラ、マタハラ(マタニティハラスメント)など女性へのハラスメントは減少したと言えませんし、「最近になってようやくそのような概念の存在を知った」という男性も残念ながら少なくないでしょう。

『おっさんの掟: 「大阪のおばちゃん」が見た日本ラグビー協会「失敗の本質」』 小学館

 数字の上でもその停滞ぶりは明らかです。日本政府は約20年前から「202030」という政策を進めていました。これは2020年までにすべての公職における女性リーダーを30%にするというものです。また、民間企業の女性管理職の割合も増やすよう求めていました。

 しかし、この目標は達成できず、政府は2030年代に指導的地位にある男女の比率が同水準になることを目指すという方針に変更しました。経団連も「2030年30%のチャレンジ」として「2030年までに役員に占める女性比率を30%以上にする」としていますが、2021年7月の内閣府調査によると、東証1部上場企業の3分の1は、いまなお女性役員がゼロとなっています。

 また、2021年10月の解散総選挙は、男女の候補者数をできる限り均等にするよう政党に求めた「政治分野における男女共同参画推進法」が成立して初めて行われた衆議院選挙でした。ところが、当選者に占める女性議員の割合は9.7%に過ぎず、前回衆院選を下回る結果となっています。

 これでは、女性の意見が通るはずがありません。