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夫婦でつくりあげた『ひみつのアッコちゃん』

――『ひみつのアッコちゃん』も連載開始60周年を迎えますが、赤塚先生が少女漫画を描いていたというのは意外に思われる方も多いのではないでしょうか。

赤塚 そうですね。ただ、父のデビュー作は『嵐をこえて』という悲しい少女漫画だったんです。当時は少年漫画で有名な先生も少女漫画を描いていたという方は多かったようですね。

 でもやっぱり父は面白い漫画を描きたかったみたいです。なので、『ひみつのアッコちゃん』にも赤塚のギャグ要素は入っているんですよね。主人公のアッコちゃんがおっちょこちょいだったり、いろいろ失敗したり。

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少女漫画である『ひみつのアッコちゃん』には赤塚夫人のアイディアも活かされているという

――女の子らしいストーリーを考えるのは苦労されなかったのでしょうか。

赤塚 北見先生に聞いたところ、女の子ならではストーリーを考える時は、母が結構アイデアを出していたそうです。他にもアッコちゃんが着ている洋服なども母が最初にスケッチブックに案をたくさん描いていたんですよね。なので、最初の方は母がアッコちゃんの洋服を描いていたようです。

 実は主人公の「アッコちゃん」は母の姉の「昭子」から名付けられています。「アッコちゃん」は「あつこ」なんですけど、母の姉も「アッコちゃん」と呼ばれていて。あとは、アッコちゃんの親友の「モコちゃん」は母の「登茂子」のモコから、モコちゃんの弟の「カン吉」は母の継父の名前からきています。なので、母の影響は大きかったようですね。

『少女漫画家 赤塚不二夫』(ギャンビット)

普遍的な日常を描く

――『おそ松くん』同様、『ひみつのアッコちゃん』もTVアニメ化や実写映画化もされていて、現在も人気が高い作品ですよね。

赤塚 『ひみつのアッコちゃん』の面白いところって、主人公が普通の女の子なんですよね。不思議な鏡を持てば誰でも、何にでも変身できる。それがいつの時代も女の子に刺さるんだと思います。

 基本的に赤塚漫画の舞台って、“日常”なんですよね。普遍的な日常が舞台だったりするので、いつの時代も入りやすいのかなって思います。“日常の非日常”みたいな感じなので、時が経っても共有ができるものがあるんですよね。

愛煙家でもあった赤塚不二夫 ©文藝春秋

――赤塚先生はそういったことも意識しながら描いていたのでしょうか。

赤塚 父はもともと「みんなが楽しめる漫画を描きたい」「小さい子から大人までが楽しめる漫画」というのを目指していたんですね。例えば『天才バカボン』は、本当に小さい子は絵を見ているだけで楽しめますよね。それが大きくなってから読むと、内容がわかるようになる。

『天才バカボン』に限らず赤塚漫画は、最初は絵から入って楽しめていたのが、だんだん大人になって見方が変わっていくというのがずっと楽しめる理由なんじゃないかなと思います。